11/20/2007

Wellness express 5

医学の進歩により、検査で色々なことが分かるようになった。
いいことなのだが、悩みも増える。









  悩み中の
  ルース君



未破裂脳動脈瘤が見つかった場合が、そのいい例だ。
これまで何年も、あるいは何十年も知らずに平気で
過ごしてきたのに、知ったばかりに、気にかかって、
気にかかって・・・

もっともなことだ。
今日は、前回の続きになるが、未破裂脳動脈瘤が
見つかったときどうするかを、お話しします。


まだ破れていない動脈瘤を治療するのはなぜか。
答えは簡単、クモ膜下出血にならないため。


確かに、クモ膜下出血は怖い病気だ。
だからちょっと前までは、動脈瘤が見つかったら、
みんな手術だった。
こんなコワイものが見つかってるのに、そのまま
置いとくなんてとんでもない。

         コワイジャネーカ



今は違う。

10年ちょっと前から、何年もかけて、日本人の未破裂
脳動脈瘤がどのくらい破れやすいか、大々的な調査が
なされた。
その結果、動脈瘤が1年間に破裂する率は、せいぜい1%
程度だということが分かったのだ。

1%を高いと考えるか低いと考えるかは、人それぞれだ。
WE4で書いたように、手術に伴う危険性が3%程度であることと、比較して考えてみるのもよい。

         考えるのメンドウ・・・

それから、一般的には大きい瘤の方が、小さい瘤より
破れやすい。
となると、小さな瘤なら、破裂率は1%よりさらに低く
なるということだ。

クモ膜下出血って、意外となりにくいのね・・・


それなら、「今」何ともないなら、そのまま過ごしてもいいのではないか。


今までだって、知らなかっただけで、瘤はあったのに
元気に暮らしていたのだから。
そういう答えも出てきたのだ。



手術すべきかせざるべきか、悩む原因はもう一つある。

ある人に瘤が見つかったとして、その瘤が破れるのか
破れないのか。
(破れないまま一生を終える人だっていくらでもいる)

破れるとしたらいつ頃なのか。

それが分かる医者は、いや人間は、誰も
いない。神様だけだ。

だから、絶対の正解がないのだ。

ゆえに、その人が、
瘤か、手術か、どちらをより恐れるかで治療方針が決まることが
多い。


実際のところ、最近は「経過をみる」という人が増えている。特に瘤の大きさが3mm以下の場合は。

その場合は、半年〜1年ごとにMRIなどを行い、瘤の
大きさや形に変わりがないかチェック。
たいていは変わりない。

もし、大きくなったり、変形してきたなら、これは医者にも未来が見える。破れる瘤だ。
経過観察は終わりにして、治療を考えた方がいいだろう。



でも、やっぱり何をしていても、頭の中に動脈瘤があると思うと、気が塞ぐという人は、治療を受ける方がよいかも知れない。

幸い、時間の猶予はある。
信頼できる病院・医者をじっくり選んで、万全の体制で治療を受けよう。


いずれにしても、自分と、家族と、それから
愛犬と(?)よくよく相談して方針を決めることを
お勧めする。



それから、補足が3つ。

破れるかどうか誰にも分からないと書いたが、色々な
 要素で、それがある程度予想できる瘤もある。
 その場合は主治医が手術の方を勧めてくれるだろう。

経過観察する場合、瘤の大きさ・形が変わらなけれ
 ば、破れる可能性がないんだ、というふうに勘違い
 しないこと。もし変われば破れるのはほぼ確実だが、
 変わらなくても破裂率は1%のままと考えて下さい。

経過観察中に、WE2で書いたような頭痛があれば、
 夜中でも病院へ。もしCTで出血所見がない、と
 専門が脳外科ではない当直医にいわれても、
 「動脈瘤がある」と伝えて入院させてもらうべし。
 本格的な破裂の前に、CTでも分からないほどの
 わずかな出血を起こしていることがあるから。
 (痛みは本当の破裂と同じくらい強いざます)





今回は、スッキリ
しない内容だったでしょうか。

でも、未破裂脳動脈瘤の治療は、患者さんとその家族の意思による部分がとても大きいものなのです。
だから、正確な知識を十分得ておく必要があります。


と、いうわけで、次回の0のつく日、Wellness expressはクモ膜下出血最終回。
クモ膜下出血になったら、どんな経過を辿るかについて。




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