5/18/2010

海行きならず


海に行けなかった。
それもこれも、ホープがお客を脅かしたから。


実は先々週の日曜日(つまり9日)、ブルース一家が遊びに来てくれた。
ブルースは、御年4歳のハンサムボーイである。


我が家で一番大きかった子で、生まれた時から鼻筋が通っているのが特徴だった。
それが大人になってもそのままで、”鼻筋がリッジバック”と我が家では言われている。

          2ヶ月のころ

子犬の頃、一度我が家に遊びに来てくれたが、この時はまだ挨拶の作法ができてなくて、出迎えた生みの母・ソフィに叱られたことがあった。

         不調法ハ許サン

今回は、それ以来ほぼ3年半ぶりくらいの再会なので、まず、我が家のハイエナジーチームとお散歩に行くことにした。

ハイエナジーチームとは;

          ソフィ姐さん

            ホ坊

ローエナジーはもちろん;

           ルース

           ウェル

ガディ爺さんは、元来は、ぶっちぎりでハイエナジー犬であった。


さすがに15歳ともなると、のたくたしていて一見ベリー・ローエナジーに見えるが、実は違う。
今でも、不躾に目の前を若いのが横切ったりすると、一喝する。
女ボスのソフィが、ガディにだけは腹を見せる。


すごいぞ、ガディ。

いや、それはまた別の話。






ともかく、ブルースも大人になったし、お散歩の甲斐もあって、ソフィはすんなり受け入れた。

一方、ホープはブルースと遊びたくて仕方ない。
ノーリードにした途端、誘いに行き、ブルースも応じ・・・たように見えた。
ちょっとだけ、追いかけっこした。

んが、実はブルースは、荒っぽいことが嫌いなとっても優しい犬だったのだ。

         ブルースママと

ホープの追いかけっこも、犬相撲も荒々しすぎたようで、一度組み敷かれて悲鳴を上げてからは、絶対にホープに近づかなくなってしまった。

挨拶がすんだら、さっそく先日の浜へ行って、若い子同士、思い切り走り回ってくれることを期待したのだが・・・

       こんな追いかけっことか

     こんな犬相撲とか、したかったな


可哀相なブルースはすっかり萎縮してしまい、以後、ホープだけでなく、どの犬も拒否してしまった。


おっとりルースがブルースのお尻を嗅ごうと近づいた時など、柵を越えて山の奥へ姿を消し、ブルースパパが連れ戻しに行かねばならなかったのである。


『一緒に海に行こう計画』は、まだまだ無理であった。

         ションボリ・・・

ションボリって、お前さんが悪いことないかね、ホープ?






すっかり暑くなったこともあって、結局ブルースだけ人間たちと室内でのんびり。

部屋ではハニーとフラにも最初はビクビクしていたけど、ちょっとずつ慣れてきて、しまいには、しつこく嗅ぎすぎて怒られたりしていた。
そのあたりの加減も覚えないとな、ブルース。


ブルース家には、3歳になる女の子がいる。
ブルースパパは、実は私のいとこなので、従姪にあたるのだが、この子は、気だてのいいブルースと育ったおかげで、まったく犬を怖がらない。
穏やかでとっても可愛い子であった。


その落ち着いた雰囲気を読み取ったのだろう、我が家の犬たちも、従姪をまったく子供扱いしていなかった。
大したものである。

         アタシ達ガ?

違う、従姪がだよ!






それにしても、ブルースは美しい犬に成長していた。


そして、とても幸せそうだった。


犬はちょっと苦手だけど、人間には人懐こく、優しい。
立派に育ててもらったね、ブルース。


我が家で生まれた犬は、やっぱり特別である。我が家の犬たちと同じくらい愛おしい。

だから、迎えてくれた家族の一員となって、幸せに暮らしているのを目の当たりにするほど嬉しいことはないのだ。
だから、迎えてくれる家族は、我が子を嫁に出す先を選ぶのと同じ真剣さで選んでいるのだ。

私自身がまだ嫁に行ってないんだけど。へっ。

5/08/2010

母のぼうげん


母は口うるさい。
それに加えて、話が誇張されるきらいがある。


『早く寝なさい、もう12時よ』
時計を見ると、11時半である。
第一、いい大人に、寝る時間までとやかく言わんでもええんじゃないか。



『チワっこが家中にうんこをまき散らしてるよ!』
慌てて駆けつけると、2カ所ほどころんと転がっている。
拾ってる後ろで
『うんこたくさんするから、チワにあんまりご飯やらんとって』
などとひどいことを言ったりする。

          ハヤク隠セ!


まあ、母の暴言は慣れっこなんだが、ちょくちょく妄言や呆言もあるのが気味がいい。



先日、私が出張で不在の間に、人気が少なくてきれいな浜を、県内に住む親戚に教えてもらったという。
行き方を忘れないうちに行こうというので、私も二つ返事で車を出した。






母のナビが非常に頼りないことは経験で知っていたので、私もあらかじめだいたいの位置は調べてから出発。
隣で母は、「そうそう、こんな道を行った」とご機嫌である。

           途中の海

そのうち近くまで来たので、細かい道を教えてくれるよう言うと、平然と『全然覚えてないから無理よ〜』

なんだとう!?

そもそも、親戚とのおしゃべりに夢中で道順などまったく気にしてなかったらしい。
なぜ、それならそうと言ってくれない・・・
こちらも調べようが違うのに。

などと言ったら、ご機嫌を損ねるのは目に見えているので、ぶらぶらとしたドライブを楽しむことに切り替える。

なんとそのうち、ひょっこりその浜へたどり着いた。






人っ子ひとりいなかったというその浜は、サーファーでにぎわっていた。
まあ、大型連休初日だったからそれは仕方ないか。

車を停めて浜へ降りていく途中で、母の呆言が出た。
『まあ、今日はずいぶんたくさんの水鳥!』

みずとり。

見えなくもないが、デカいな。

お母さん、あれはサーファー達ですよと伝えると、ひとしきり大笑いの母。
自分で言ったんですよ・・・


もちろん帰り道、
ちゃんと着けたじゃない』
と胸を張っていた。

よっ、名ナビゲーター!

            ん?






明日、犬たちとこの浜に遊びに行く、かもしれない。
たどり着けないかもしれないけど。

           ガンバレ

うん、迷ナビゲーターがついてるしね。