12/26/2013

リースをつくる




子どもの頃から、クリスマスが大好きだ。

そのクリスマスに欠かせないのがツリーやリースといった飾りつけ。
あの、緑と赤と金の色合いもいいんだよね。




先日、今年のクリスマスリースを作った。

これまでは、我が家がお世話になっている牧師先生の奥様である「こうこ先生」が毎年手作りした立派なものを届けて下さり、それが我が家唯一の生のリースだった。
(あとは、母が作ったアートフラワーのものや、私が通販で買ったドライリース)

今年も大きなリースを送ってくださり、家の一番目立つ場所にかけた。


しかし去年から私も、友人の「かなこさん」に教えてもらって、自分で生リースにチャレンジしているのだ!
とは言っても、素材を準備して頂いているので、ナンチャッテ自分製だが。
威張ルホドノモンジャナカロウ

まず一昨年、かなこさんが作った素敵なリースを頂いた。
そして昨年、かなこさんに教わって初めて自分で作った。
それがこれ。


今年も声をかけて頂き、クリスマスまであと10日ほどになった土曜日の午後、かなこさん宅をいそいそと訪ねた。
授業料は、犬のモグちゃんへの差し入れだ。

モグちゃんは推定15歳。
かなこさんファミリーとは、譲渡会で出会った。
ずっと基本的には外飼いだったが、今月初めに眩暈を起こしたのを機会に、室内で過ごすことになり、ただいま室内犬修行中である。
ほとんど耳は聞こえないそうだが、とても若々しい
室内暮らし猛特訓中

眩暈もほとんど治まり、以前のモグちゃんのように、シッポふりふり甘えてくれたのがほんとうに嬉しかった。


一年ぶりとは言え、二度目だけあって割とすんなり取りかかれた。
昨年は、束にする小枝を切り分けるのに慎重になりすぎ、ずいぶんためらったからだ。
二度目ともなると一気に雑にな・・・いや、手際がよくなり、どんどん小束を作った。
切り分けた小枝を針金で束にする

部屋中にヒバやヒノキの針葉樹独特の芳香が立ちこめる。
こんな真冬でも、1cmに満たない小さな小さな尺取り虫がくっついていて、寒空の中生き抜けるか心配しながらもやむなく庭に放した。


じゅうぶん小束ができたら、テーブルに座って、自分の好きなように台に固定していく。

かなこさんが、植木屋さんや、通りかかった剪定中のお宅にも声をかけまくって集めただけあって、いろんな種類の枝が揃っている。

私は昔からまきの木が好きなのだが、リースにする際にも、まきの葉はとてもいいアクセントになる、と思う。

今年はOさんも一緒で、女三人揃えば姦しいの字の如く、にぎやかに手も口も休みなく動かしつつ作業は進んだ。


8割方できたところで、Oさんの手土産のケーキに、紅茶を入れて頂いて、かなこさんのご主人(実は同じ病院のドクター)も一緒におやつタイムをとった。

可愛らしくて、美味しいケーキと香り高い紅茶だったのに、写真を撮り忘れた。
いただく方に集中してしまうもんで・・・


糖分と水分を摂取してますます口も手も滑らかになったところで、最後の仕上げに取りかかる。

自分でも、リースがいささかもじゃもじゃしすぎていると自覚していたが、ふと隣のOさんの手元を見ると、あまりにもできばえが違う。
Oさんのリース

Oさんはセンスがある上に活け花も嗜むものだから、リースを作っても実にバランス良く、見栄えがするものに仕上がっている。
私の・・・リース

なんだこの私の作ったキングコングみたいなリースは。


とはいえ、本物の葉でできているおかげで、それなりによく見える。
持ち帰って、自分のものだけ見れば、今年も大満足なリースになっていた。
(かなこ先生がリボンをかけたり少し手直ししてくれたおかげ)

母の部屋の戸に、と思って作ったので、昨年より小さめの台を使っている。
引き戸なのでフックを買ってきて貼り付け、そこへ飾ってみた。
ほほう。
素晴らしいではないか、もじゃコングちゃん。




ちなみに、昨年作ったリースは茶色くなったので、ポンプ小屋にかけた。
あまりに保護色で、サンタさんが老眼だったら見落とすだろうな。
完全に溶け込んでる・・・
コリャ見エン




一日遅れだけれど、メリークリスマス。











12/16/2013

落・・・としもの?


先週の初め、しとしと雨が降る夜道を車で仕事から帰っていた。
四つ辻を右折したら、左手に白っぽい猫が見えたので、車を止めた。


実は一月ほど前、おむすびの病院帰りに若猫を見かけたので少し先で車を止めたが、辺りを100mほどに渡って歩いてみても見つからず、気にかかっていたら1週間後に300m程離れたところで車にはねられて死んでいた。
哀レナ・・・

それぞれの命にはさだめがあり、また命同士の関わりには縁があるから、無理にどうこうはできなかったろうが、滅入った。
おむすび同様、縁あった方々


だから、今度はその場で車を止めて、雨の中降り立ったのだが、白い猫はりっぱな成猫で、私の出る幕はなさそうな感じだった。

だが、私の目は猫よりも、その猫が寄り添っていたものの方に釘付けになった。

暗闇で(山と田んぼの中で街灯などない)よく見えないが、ながながと横たわって動かないものがある。

仲間の猫の死体?
いや、もっと他の、イタチか何かの死骸か?
ナンダロナンダロ

もう少し寄って目を凝らすと、私に近い方の端っこに骨のようなものが見えた。
まさか人骨ってことはないだろうが、しかし犬猫のものにしては大きい。
やはり人なんだろうか。(なんでやねん)


だんだん目が慣れてきた。
思い切ってそばまで寄って確認した。
どうもイノシシの後ろ足・・・のようだ。
ホワッ!?

確かにその朝も近くで銃声が鳴りまくってホープが嫌な顔をしていたが、それにしてもなんでこんなところに落ちているんだ。
これを猫は食べていたのか。
今夜は御馳走だったんだなあ。

しかし半分車道側にはみでているから、こんなところで囓っていたら、いずれ車にはねられる。
とりあえず、傘で押して端へ寄せた。
これは寄せた後

思った以上に重かった。


いったん帰宅し、使い捨て手袋を持って、現場へ戻る。
猫はたらふく食べたのか、徒歩で近づく私からさっさと隠れたのかしらないが、いなかった。

まだ食べるところはありそうだったから、溝の向こうの、土の部分に移す。
ここなら、車の危険なく食べられるし、いざとなったらそばの溝にも隠れられるだろう。
よく見ると刃物で肉を削いだ後だ

その後2日ほど足はあったが、向きが変わったり位置が変わったりしていた。
そのうち消え失せたので、誰かが片付けたのだろう。


それにしても、えらいもんが落ちていたものだ。

うちの湿地も今年はイノシシたちに踏み荒らされて、昨年とまったく違う荒んだ雰囲気になっている。
ブラウニーは大興奮だが、我ら人間はちょっとがっかりだ。
(黒グロ&チワワはあまり意に介していない様子)
ブラウニー、どんどん行かないよ
おーいブラ坊
やっと我に返ったか
あまり気にしない黒い犬

それでも、もしやここで楽しくどろんこになったイノシシが・・・と思うと、銃声が鳴る度に
 「はずれろ」
と念じずにはいられないのだった。
(母も同じことを念じていたらしい。こりゃ当たるまい)

11/19/2013

黒尊渓谷とお弁当







今年の冬は短く厳しいらしい。
そして秋はもっと短いんだって。





短い秋を味わおうと黒尊渓谷まで行ってきた。
いや、正確には、Oさんに連れて行ってもらった。
Oさん、ほんとにいつもありがとう。


四万十に来たばかりの頃、黒尊に行くべきだ、素晴らしいからとその名を耳にしてはいたが、必ずと言っていいほど、「ただ、道中の道がね・・・」と続いた。
行き違い不可能のくねくね道を延々と行かねばならぬらしい。

そんな道、いくらかつての愛車ランドローバー(最小回転半径がまさかの6m超えだった)より小回りが利くといっても、全長4m58cmのキャラバンを操って通れるわけがない。


それで今まで行けていなかったのだが、今回、Oさんに乗せていってもらうことになったのだ。




前日は雨が降ったが午後から上がり、当日16日(土)は朝から小春日和の予報通りの良い天気になった。
残念ながらPM2.5がひどかったが

お弁当は、黒尊に向かう途中の『しゃえんじり』という農家レストランで調達することになっていて、前もってOさんが電話をしてくれていた。

小さな駐車場に車を乗り入れたら、ちょうどスタッフのおばちゃん二人が車でどこかへ出かけるところで、フロントガラス越しに笑顔で挨拶をしてくれた。


あとで気づいたが、どうやら開店時間より早く着いてしまったようで、厨房のおばちゃん達はおおわらわ。
でも、すでに先客がひとりいた。
屋内の座敷
(屋外席もありました)

おばちゃんたちは、大阪のように口八丁ではないけれど(間違いなく手八丁ではあった)、皆さりげなく親切だ。

食事もそうだが、お弁当もバイキング形式で、折りに自分で好きなものを好きなだけ詰めていく。
ツガニめしを詰める母(右)

どれもこれも美味しそうでつい取りすぎそうになるのだが、メニューも盛りだくさんなものだから、少しずつにしないと入り切らなくなる。

母は見事にそれにはまってしまい、おばちゃんに
 「蓋が閉まるかねえ」
と笑いながら心配されるほど山盛り詰めていた。
気持ちは分かるけどね、食べられるのかい・・・

母がなんとか蓋をして少しその場を離れている間に、おばちゃんのひとりが蓋が浮かないようさりげなく輪ゴムをかけてくれていた。
会計する段になって一律700円と言われ、
 「こんなに取ってしまって・・・」
と申し訳ながる母。
まあ、本当に食べたくて詰めたんだから、いいんじゃないか。
帰りぎわ、おばちゃんが覗いてくれた


できたて熱々のお弁当をそれぞれ抱えて車に戻り、黒尊に向けてレッツゴー。
途中の鉄橋からの景色

道中は確かに行き違いが大変だった。
対向車双方が行き違い方を心得ていないと、面倒なことになる。

だが、確かに大変だけれど、想像したほどではなかった。
これならキャラバンでもどうにか行けそうな気がする。(たぶん)
と思っていたら、大型観光バスも通っていた。


黒尊渓谷は、四万十川の支流の一つ、黒尊川流域の一帯だ。

今これを書きながらネットで調べると、四万十川の支流中もっとも清流度が高い川、と書いてあるページがあった。
清流度ってなんぞ?とさらに調べると、こういうことらしい。

何につけても下調べをほとんどしないタチなので、そんなことは何も知らずに行ったが、前情報がなくとも黒尊川の清らかさは誰でも分かる。
今回は紅葉を見に行こうという計画だったのだが、正直言って紅葉以上に私は川を楽しんだ。




そして、これはまったく予想外だったのだが、川の次に楽しんだのがお弁当だった。
写真右下の岩に腰掛けていただきました

これまで、ここではっきり書いたことはなかったのだが、今、敢えて書こうと思う。
あくまでも私個人の感想だが、四万十は料理が不味い。
おそらく素材はいいはずなのに、こちらに来て、料理を提供するのを生業とするお店で出されたもので、心底美味しいと思ったことがほとんどなかった。

でも、こちらの人には
 「やっぱり食べ物が美味しいでしょう?」
と自信を持って言われるので、あいまいに頷くしかなかった。

大阪にいた頃は、何を食べても美味しく、自分の味覚レベルはかなり低いと思っていたが、そうではなくて、大阪はやはり食い倒れの街だったのだ。
大阪を離れて初めて、食文化の高さを実感した。
(でも、学会で行く地方の食事も美味しかったんだけどね・・・)

遠方から遊びに来てくれた友人を連れて行けるお店が限られていても、「できないことを求めても角が立つだけだし」と諦めていた。


だが、しゃえんじりのお料理を食べた今は違う。
やればできるんじゃないか!
私のお弁当(かなり食べてしまったが)
料理の境用にツワの葉がたくさん用意されていた
こちらは我が家のツワブキ

ガッカリしないために、四万十で出された料理を食べる前は、無意識に期待値を下げる癖がついていたから、その範囲で”おいしそう”と思っていたのだということに、ひとくち食べて気づいた。
Oさんバージョン(イタドリと破竹の炊き合わせが最高)
母バージョン(アメゴの甘露煮が絶品)

お、おいしい・・・!!
心底おいしい。
どれもこれも、なにもかにもが。
お弁当食べながらの、橋の下の眺め

確かに、空気まで染まるような紅葉の下、澄み切った黒尊川に足が浸からんばかりの岩に腰をかけて食べるという、最高の調味料はあった。
だがそんなことではなく、本当に美味しかった。
本当に美味しい料理を食べて、心から「美味しい」と言えるって、幸せなことだ。




お腹も心も満たされて、心楽しく川べりから上がってきたら、先ほどの観光バス向けにシシ汁を出していた出店の人が声をかけてきた。
 「今朝、来てくれちょった人じゃないかね?」
しゃえんじりで入れ違いにどこかへ出かけたおばちゃん二人組だった。
なるほど、ここへ出張していたのか。

観光バスのお客用だったシシ汁だが、残っているので良かったらどうかと言ってくれた。
温め直そうとして下さったが、ガスが切れたらしくいくら回しても点かない。
ぬるいままで構いませんと言って有り難く頂いた。
臭みもなくしつこくもなく、けれどしっかりコクがあってまことに良い味わいであった。




それから、あたりをゆったり散策。
黒尊川はあまりに澄んでいて、深さがまったく分からない。
角度によっては、木々が写り込み、紅葉色の川のようにも見えた。
流れは速いのに、じっと止まって動かない葉があると見入る母
真ん中に写ってるのがその葉っぱ


あっという間に2時間が過ぎ、帰路についた。
幹が横たわるこの木、倒れてもなお懸命に根を伸ばして元気だった
これが根の部分
木肌を撫でて、おむすびに御利益をいただいた
紅葉をカメラにおさめるOさん

黒尊渓谷の紅葉のように明るい気持ちになって家に帰り着き、ふと見上げるとおもち(先代)の桜に季節外れの花が咲いていた。
ふわふわしていた心が、切なさで少し静まり、家のドアを開けた。
オカエリナサイ