11/25/2008

おもち飛べ飛べ



所変われば、という。
今まで自宅や山荘などで
“家の新築”は経験したので、上棟式の時に宴を催したことはあったが、高知の辺りでは、落成式を大々的にやるようだ。



実は2年程前から土地探しを始め、四万十川の畔近くに、田舎暮らしを楽しみつつ、7頭の犬たちと人間が、お互い楽に過ごせる(はずの)家を建てていた。


それが、この10月いっぱいで、完成したんである。

工事に伴い、意外に賑やかな起工式(地鎮祭含む)、あっけないほど簡単な上棟式、そして何とも大がかりな落成式を経験することができた。
盛大に行う順でいうと、落成式>>起工式>上棟式、である。

           起工式


去る11月3日は、まったく盛大な落成式だった。
私のような年端も行かぬ小娘にとっては

           コムスメ?

身の縮む思いであったが、とにかく神事と宴には60人を越す人々が出席してくれたのだ。

しかし、山場は餅まきであった。




紅白の餅をまくのだ、と聞いた時、なるほど、では100個くらいは要るのだな、などとぼんやり考えていたら、「二俵じゃ足りんろう」という声が聞こえてきた。

二俵・・・
二・・・
俵!?

            エッ


100〜200人は来るとのことで、結局、お餅は三俵半
(なんと、お餅は地元の方達が寄付してくれた!!)、袋菓子を一万円分、おひねりをある程度(額はご想像のままに)、用意することになった。




唐突で申し訳ないが、祖父の遺稿集「西生」の、「父が口にした警句」と題した文の中に次のような一節があった。

 「祝いの投げ餅はねや、遠いくにおる人に
  投げちゃり
。近まわりはひっとり落ちるけのう。」
 (祝いの餅は、遠いところにいる人に投げてやり
  なさい。近いところへは、ひとりでに落ちるもの
  だから。)

太字の所は、実際に太字になっているところである。

           宴もたけなわ

この意味は、単に餅まきの話にとどまらないと思っているが、今回は餅まきそのものに対する警句として、胸に刻んで臨んだ。




だが、意外に思った程飛ばないのだ。

おまけに、すぐ足もとで、餅拾いのプロ(?)とおぼしきおばさん方が、しっかりこちらの目を見ながら「こっちへ投げて〜」と叫ぶ。
このプレッシャーに勝つのは容易ではない。

        雨天に200人来てくれた

聞くところでは「餅拾いクラブ」みたいな団体が各地にあり、けっこうな遠くへも、餅まきがあると聞きつけると、バンで乗り付けるそうな。

そうでなくても、慣れたお婆さんなどは、普段は絶対に役に立たぬであろう、バカバカにでかいポケットの付いたエプロンなんかを着けていて、曲がった腰を曲がったままに、地べたに落ちた餅を素早く拾い上げていくのだそうだ。


実際、餅まきは10時半からだったにも関わらず、8時過ぎに現地入りしたら、もう沿道には餅拾いに来た人たちの車がずらっと並んで停まっていた。

        上向きに投げすぎです。


それと、予想外だったのが、身体的にきついこと。
餅まきがあんなにしんどいとは思わなかった。

餅の入った籠は足もとに置いてあるから、それが空になるまで、立ったりしゃがんだりをひたすら繰り返すことになり、最後はへとへとだった。

        (にぎやかな音が出ます)


落成式が終わってしばらくは、ちゃんと遠くへ飛んでいなかったようだ、後ろの方の人はあんまり拾えなくてがっかりして帰ったんじゃ、などと、あれこれ考え込んだりもした。

でも、ほんの10分程ではあったが、お餅の入った袋やカゴ(や特大ポケット付きエプロン)を携えて、三々五々帰路につく人々を見送ると、なにやらとても嬉しく、心から「良かったなあ」と思ったのだった。


それは、うまくいって良かった、もあるけれど、地域のみんなに来てもらえて良かった、なのである。




学んだこと。
餅は、ぞんがい遠くへ飛ばん。

          そんなもんじゃ