2/17/2008

The Sixth Sense


第六感、と言うが。
ないのは人間だけかもしれない。

犬が何もないところをじっとみつめ・・・あたかも、
それが動いているかのように目で追い・・・何故か天井へ上がっていって、ワタクシの方へと頭を巡らせたりすると、父!?などと思ったりすることもある。



ガディは特に、第六感が働く犬だ。
今やすっかり好々爺になって、我らと大差なくなった
ように見えるが。


彼が若かりし頃、私が三次救命センター(救急患者の中でも最重症の人だけが運び込まれる救急病院)に務めていた時期があった。
脳外科は毎晩のように緊急手術だったので、病院から
徒歩30秒のところに下宿していたのだが、たまには実家に帰る。

そんな時、狂喜乱舞して迎えてくれるガディが、時折、玄関から入った私に、激しく吠えたてることがあった。見ていた両親も断言したが、私ではなく、私の肩越しに後ろを見据えて吠えていた。
私が
「どうしたの、ガディ」
と言いながら近づこうとしても、後ずさりながらさらに吠える。

    アンタ怪シイヨ! イーヤ、アンタコソ!

亡くなった患者さんがついてきたのか?
家族全員、まったく霊感のない我らはさっぱり分からない。
そのうち、逆立っていた毛がスッと寝て、急に吠えやむのだ。
私は自分の患者さんなら怖くないから、ガディが落ち着けばそれで良しだった。



だが一度、家族全員、総毛立ったことがある。

夏、信州に滞在中のことだ。
とある有名な高原に、親戚ともども、車2台連ねて遊びに行き、どこかでお昼を食べようということになった。
いつもより少し遠くまで走ると、道路わきに草原が開けており、うってつけに思えた。
そばには無人の料金所。

道路をはさんで向かい側は、冬期はゲレンデらしかったが、なぜか廃墟になったクラブハウスが建っていた。
そのこげ茶色の、大きな三角屋根は今でも思い出せる。

          本文とは関係ナシ。

ともかく草原に車を乗り入れて、父と私でお弁当を広げられそうなところがあるのを確認し、ではみんな車から降りましょう、という段になって、ガディの様子がいつもと違うことに気づいた。

その頃はまだ、時々車酔いしていたガディは、いつも真っ先に降りたがっては叱られるのが常だったが、その時は、絶対に降りようとしなかったのだ。


私が呼んでも、父が呼んでもだめ。
業を煮やして引っ張ろうとしたら、小さな悲鳴を上げて奥へ後ずさりして逃げ込んだ。

 「ここ、なんかあかんのと違う」
誰かが言い、次の瞬間には、車の外にいた全員が、我先に乗り込んだ。
豪胆な父までも。

とにかく一刻も早くその場所を離れるべく、急発進した。道路へ出てすぐ、ガディは鳴きやんだ。
来た道を100mも戻らぬうちに、別の開けた場所があったので、そこへ乗り入れ、恐る恐るドアを開けてみたところ、ガディは先ほどのことが嘘のように、大喜びで飛び降りたのだ。
一同ホッとして、めでたくお弁当を広げることができたのであった。



それにしても、あれはどうしたことだったのだろう。
別に怪しのものではなくても、磁場だとか、空気の流れだとか、そういったものが、良くなかったのかもしれない。我ら人間には分からないことが、ガディには分かったのだ。

あのクラブハウスが潰れていたのも、そのせいであそこが良くないというより、あそこが良くないから潰れたのでは?


真相はどうあれ、その一件が、ながらく物議を醸したのは言うまでもない。
10年以上経った今でも、あの時の情景はまざまざと甦るし、腹の底から湧き上がった恐怖も昨日のことのように覚えている。


我が家では、ガディ達の判断を尊重する。

それは、こういう事(の積み重ね)があったからなのである。



 クリックありがとう!ガディもリラックス。
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5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ガディ、動物的感?すごいですね
しっかり自分の家族を守ってくれてるんですね
頼もしい!

夜に散歩してると突然立ち止まったり
闇を見て唸ったり
ジックも何を感じていたのか…
でも 南西沖地震の中、寝ていた子ですので
たぶん何も感じていないのでしょうけど?

匿名 さんのコメント...

「本文と関係ありません」の一文が表示されるまで、不思議な起伏の屋根の建物にものすごくゾワゾワしちゃったじゃないですか~(笑)。

第6感。彼らには間違いなく見えてますよね、我々の眼に見えない何かを。
それにしてもその土地に一体全体、何があったんでしょうね・・・。

ハニフラ さんのコメント...

jick-jickさん、本当に、いろんな意味で、ガディが一緒にいてくれると安心するのです。
頼りになります。
そして、そんなガディにずっと一緒にいてもらえるように、私もしっかりしよう、と思うのです。
これって、ほとんど夫婦ですね^^;

ジックくんは南西沖地震の時に寝ていた?
それはきっと、jick-jickさんがいるから安心していたのですね、きっと。
ガディは阪神大震災の6日後に産まれました。と言っても群馬でですが。

ハニフラ さんのコメント...

ルフュママさん、長浜タワーにゾワゾワされました?
実際に見るともっと、不思議なオーラがありますよ。しかも、なんだか生活感がある辺りが、かえって異次元の魅力が漂います。
中はどうなってるんだろう・・・

犬と死に神の話、ルフュママさんご存じですよね?
犬に守ってもらうんじゃなくて、私が守ってやるからね、といつも力強く(笑)心の中で拳を握ってます。
イノシシに遭遇した時のルフュママさんと同じです^^

ハニフラ さんのコメント...

ルフュママさん、追加です。
長浜タワー、琵琶湖に泊まりがけで遊びに行って、翌日長浜観光したのですが、信号待ちの間に目について撮影。
めったに見ない独特のレトロな引力につられて、実はこのブログで使うのは2回目。他の場所でも何度か使っています。

で、今「長浜タワー」でグーグル検索してみましたら、すごい評判ですね。
こんな迷所とは知りませんでした。
お時間がある時に一度、検索してみてくださいまし。