9/27/2008

SA

鍋の話をとばして、いきなり帰り道のSA(サービスエリア)の事件。




信州に名残を残しつつ、先々週の水曜の夜は、大阪に向けてハンドルを握っていた。

普段あまり入らないSAを選んで寄ってみるのが、最近の楽しみになっていたのだが、その時は、久しぶりに馴染みの恵那峡SAに入ってみた。

平日の遅い時間で、ガラガラだったので、やや離れた
ところに止め、はばかりに行った。

伸びなどしながら車に戻り、窓越しに犬たちを冷やかし、運転席に乗り込む。









母が言うには、私がトイレに行った後、助手席で居眠りしたらしい。

窓を誰かがコンコン叩くので目覚めると、背の低い、
少し太ったおじさんが、すぐ外に立っている。
そしてやにわに、ドアを開けようとしたのだ!

見るからに少し変な人であると、寝ぼけ眼でも分かったそうな。

ロックはかかっていない。
母、ピンチ!


ところが、そこが、我が愛車ローバーですよ。

外からは、助手席のドアがなかなか開かないんです。
コツが要るんです。
手首のスナップを利かせて、一気に「エイッ」とやらないと、一度開け損ねたら、中から開けてもらうか、
一度ドアを押し戻さない限り、途中で何かが何かに
引っかかって、めったなことでは開きません。

安全ですね。

さすがですね。


・・・こうして、ローバーに守られた母は、その隙に
ガシャッとロックをかけたのであった。









しかし、話は続く。
このオジサン、なかなかしつこかった。

「どこまで行くー?」
とぞんざいな口調で訊きながら、なおもガチャガチャと
むりやり開けようとする。

助手席横に置いてあったケージの中でチワがギャギャッ
と怒ると、ようやく諦めた。


と思いきや、今度はそのまま後部ドアに手をかける。
後部ドアが、ガチャと音を立てるか立てないかで、
ガディ爺さんが太い声で威嚇し、さすがにすたこら退却したそうだ。

こうして、母はガディにも守られたのであった。


ソフィとホープには残念ながら守られなかったらしい。
彼らは、レスキューレメディをしっかり飲まされ、
ケージの中でゆったり落ち着いて休んでいた。

         グッスリダッタノ

もし彼らがレメディを飲んでいなかったら、あるいは、警戒心のより強い、ルースとウェルがいたなら、オジサンは、車に近づくことすらできなかっただろう。

          僕ガイタラナア!









ところが、話はまだ続く。


その話を私にした母が、ほら、あの人よ、歩き方も
何だかおかしいでしょう、と言いつつ示す方を見れば、明らかに不審なそのおっさんは、(声をかけてた他の車から離れて)ゆらりゆらりと、またもやこちらへ歩いてくるではないか。


母の声が緊張した。
「場所変えた方がいいよ」
むろん、言われるまでもない。

極力気持ちを落ち着かせながら、キーを探す。
映画で、何かに追われた人々が、焦って車のキーを取り落とし、食われたりするシーンが頭に浮かぶ。
(どんな映画やねん)

落ち着け、落ち着けと心で言いつつ、最小限の動きでキーを差し込み、エンジンをかける。

「早くしたほうがいいよ」
これまた、さらに緊迫した声で母が言う。

「早くした方がいいと思うよ」
不自然に落ち着いた言い方でたたみかけるのが、かえってコワイ。

         ウ:散レ!散レ!!

私にも分かっていた。

今や、オジサンは、まっすぐにこちらに向かって、
ゆらりゆらりと進んできていた。

ドライブに入れ、サイドを下ろした時には、私の視界からオジサンの姿は消えていた。
それほどまで近づいていたのだ。

すんでのところで急発進し、20m程先に進んで、他の車の間に停めた。
あと数秒、発進が遅ければ、再びドアに手をかけられていただろうというタイミングだった、と思う。


ほっとして、触られたドアや窓を、消毒しようと除菌ティッシュを握りしめた時、ルームミラーに、こちらへ向かってくるオジサンの姿が映った!
どどどどうしよう・・・

が、幸い、今度は、オジサンは途中から横へ逸れていき、他の車へ向かっていった。

         追ッパラッタワ

ほっとして車を降り、念入りに消毒して、オジサンの
痕跡を取り去ったのであった。

ロクに休憩できなかった。


もし、ローバーの助手席が、普通に開いていたら、どうなっていただろう。
あるいは、運転席側から開けられていたら。









まるっきり話がとぶが、昨夜は私、当直だった。

隣の席の麻酔科医が、稲川淳二の「怪怨夜話」というDVDを貸してくれたので、夜中に観ていたのだが、残念ながら、これが全く怖くなかった。
贔屓の方には申し訳ないが。

何がイケナイって、話の先が全部分かってしまうのだ。

大学時代、部活の合宿所で聴かせてもらったゴン太くんのお姉さんの怪談の方が、よほど迫力があるような。



でも、この夜のできごとは心底怖かった。
なんだかやたらと怖かった。
頼りなげな足どりで、ふらふらとこちらに近づいてくる人影を思い出すと、ゾクリとする。

げに恐ろしきは人なり。

夜中の恵那峡SAのできごとであった。

12 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

SAのコワイ話ってそいいう類でしたか・・・
なんなんでしょうねぇ、そのオヤジ! お母様も皆様もご無事でなによりでした。ガディさん、チワさんたちも頼りになりますねー!
しっかし、そんな怪しい奴がまだ近くにいるであろうに、触られたドアやマドをその場で即!消毒しないではいられないハニフラさんの潔癖さもなかなか!(笑)

私もマネしてまるっきり話が飛ぶのですが、怖くない怪談の稲川淳二氏は、私、デザイン学校の同級生でした。20歳ちょい前?の稲川クンはカッコよくて「男の人が好きな男の子」につきまとわれていました(笑)
インダストリアル・デザイナーとして活躍していると風の便りにきいていた彼が後年、突如、TVのバラエティ番組にいじめられ役みたいなキャラで登場したときは、心底ビックリしたものです。その後「怪談専門」に落ち着いたようですが、もともとキチンとした感じの人でしたから真面目な人なんでしょうねー。だから怪談も怖くないのかも?

匿名 さんのコメント...

コワイ、本当に怖い・・・。
スズメバチよりも幽霊よりも、生きてる人間が一番怖いかも。
お母様も犬達もご無事で本当に良かったです。
ガディさん、ボディガードgood job!でした。
しかしいったい何なんだろう、その変態オヤジ・・・。

匿名 さんのコメント...

なんとも怖いですね・・・背筋がぞっとします。
執拗に付きまとうあたりが本当にホラーです。
皆さん御無事で本当に何よりでした。

同期の看護師さんは高速の路肩で仮眠の最中、窓を割られて鞄を盗まれました。
しかし凄いのは、その後犯人を追っかけたことです。深夜の高速で。
結局捕まえられなかったそうですが、下手に捕まえると身に危険が及んだかもしれませんね。

ところで私信で恐縮ですが、メール届いておりますでしょうか?ちょっと不安になって書きました。届いている場合はお忘れになってください。

匿名 さんのコメント...

ぎーえぇーっ!
怖いぃ~。

私、夜中に真っ暗なあぜ道は歩けても、変な人のいる昼間の路地は歩けませんっ!

皆さん、ご無事で何よりです。

ゆらりゆらりの動きは酔っ払い??
突如、窓ガラスを割るような事をしでかされなくて本当に良かったですが、ドアが開いていたら一体どうなっていたのか・・。ブルルッ

一昔前ですが、よく変な人に遭遇した時期がありました。
やだやだ。気持ちが弱っていたんでしょうかねぇ。

ハニフラ さんのコメント...

おおー、Bunさんは、稲川淳二の同級生でらっしゃいましたか!

私、実は、稲川淳二を殆ど知らないんです。
なにせ、動いてる姿も、声も、この当直の時のDVDで初めて見たくらいですから。
カッコ良かったのですねえ。しかも、好感度も高かったのですね。
確かに母は、「まじめな、いい感じの人よ」と言ってました。

インダストリアル・デザイナー→バラエティ(しかもいじめられ役!?)→怪談
って、全然理解できない流れですね。
いったいどういう運命の人なのでしょうか^^;

うっ、Bunさん、図星です。
実はけっこうな潔癖症なんです。
大学時代の部活と、その後の犬との生活でだいぶおおらかにはなりましたが。
この時も、ドアなどを拭いたウェットティッシュを車内のゴミ袋に入れるのが嫌で、「エリアのゴミ箱に捨てに行く」とだいぶ言い張ったのですが、さすがにそれは母に止められました。

ハニフラ さんのコメント...

あがさん、生きてる人間が怖いですね。
子供の頃は、大人にそう言われても、まったくもって納得できませんでしたが、今なら本当にそう思います。

ガディ、実はこの時ちょっと調子が悪くて、冴えなかったんですよ。
いつものガディなら、近づいただけで車が揺れるくらい怒ってたと思うのですが・・・。

そのオヤジ、色んな車に声をかけまくってました。
母が見てると、運転席のドアを開けられた車や、一旦は乗り込まれた車もあったようです。すぐ降りてきたらしいので、犯罪に及ぶ類の人ではなく、ちょっとおかしい、というくらいの人だったのかもしれません。
でも気持ち悪い・・・

匿名 さんのコメント...

うーーん、ヤダっ(さぶいぼ)
お母様、よかった、ご無事で。開いたらどうするつもりだったのか(怖。
次に怖いのが、入ってきた男にガディさんが威嚇、あるいはお母様を守ろうとして噛み付いたりして、却って悪いことにされたり(ホラこの男に『責任能力』はない、『弱い人』だっただけ、とか言われて。)
ガディさんだって、できれば威嚇だって、したくないのにね。
ほんと、ヒト(何するかわかんないコワレタヒト)は、一番怖いです。
わたし昔ストーカーに会ったのですが(一人暮らしで)、ドアの覗きから見ようとしたら、向こうも見てたらしかった。のがゾっとしたなー。
ドア一枚、5cm隔ててべったり。あと窓の外に立ってたり。電話じゃんじゃん来るし。
ほんとコイツ(知らないけど)殺す夢ばっか見ちゃって、寝不足になりました。
アラ?わたしが怖い?コレ。

ハニフラ さんのコメント...

rioさん、ごめんなさい!
先週水曜日深夜まで、留守にしていた+忙しくてプライベートメールチェックしてなかった=なしのつぶて
でした。
今慌てて拝見しましたよ〜う(汗)
素敵な写真も一緒に送って下さってたのに!!
後ほど、お返事いたしますね!
(他にも、時すでに遅しとなったプライベートメールがいくつか発見されました・・・しまったあああ)

それにしても、拘束の路肩でそんな目に遭うのですか?
とんでもないですね。
けど、たくましい看護師さん^^#
そういう人、好きです♪
でも、やっぱり捕まえなくて良かったと思います。危険すぎます・・・

ハニフラ さんのコメント...

まりこさん、怖いっしょ〜〜(-"-)

変な人、私もダメです。全然許容できず。
たまに電車に乗って、変な人が乗り込んでくると、ずっと気を張りつめたまま。
「あ〜もう、だから車がいいんだっての」
などとぶつくさ思いながら目的地まで揺られていきます。
心が狭いんですかね・・・^^;

そのオッサン、酔っ払いではないようでした。
「変だ」というのは分かるのですが、どう変なのか、が分からなかったんです。
ただただ、気色悪ーい感じ。

変な人に遭遇する時期。
うーん、そう言われてみれば、そういう運気の時ってあるのかもしれませんね。
やだやだ。

ハニフラ さんのコメント...

ひよりさん、ストーカーに遭われたのですか?
うわー・・・・・(絶句)

嫌ですねえ。家まで来られたら、怖いを越して憎悪の方が強くなって、私も殺す夢見そう。
ここは、ひよりさんは怖くないっ。
当然でしょう。

以前、ひよりさんのブログでかいま見たお姿は、華奢で可憐で、ストーカーに遭ってしまうのも、分かる気がする。
しかし、そのストーカーも、ひよりさんと少ーし話し込んでみれば、考えを改めたかもしれないのに。
”俺、適わん・・・”って。
万が一、ストーキングしようなんて不逞の輩が今度現れたら、ひよりさん、にっこり笑ってブログを教えてあげるべし。
(お、怒らないで♪)

ガディは、オッサンが入ってきたらたぶん噛んだと思います。
でもそんなことより、大事なガディの口に、そんな奴の血や肉が触れるなんて、我慢できません。
ガディに火の粉がかかることは、私がさせませぬよ。

匿名 さんのコメント...

きゃーハニフラさんっ!2日見ないうちにブログが更新されてるっ!!

それにしても怖いなぁ、おっさん。
タダの酔っ払いとは思いますが、でも怖い。

私も夕暮れの森で何が怖いかって、イノシシじゃなくヒトです。
うああ...

過去のやな思い出がぐるぐるしちゃった。
ストーカーも怖いですよ、マジで。
今でも悪夢を見ます。
うああ...

おっさんのことは早く忘れましょう。
レメディ、レメディ。

ハニフラ さんのコメント...

Kyokoさんも、ストーカーに遭われたことが!?
自分はもちろん、身近にそういう話を聞かないので、そんな不届き者はめったにいないんだと思いこんでいました。

パブリックな部分で嫌な思いをするのと、まったく質が違いますものね。
プライベート、自分の領域、聖域に土足で踏み込まれると、生き物として根源的な恐怖や嫌悪を覚えると思います。

私は、おっさんのことはもう記憶から遠ざかりつつあります。
(嫌なことはとっとと消し去る機能が発達している私です)
Kyokoさんこそ、早く悪夢から離れられますように・・・

そうそう、レメディですよ、レメディ!

あ、そうだ、今度の家は、周囲にイノシシがいます。泥地に足跡がわんさか。
頼むから、家の近くに来ないでおくれ・・・
と、祈る日々です。
スズメバチに続き、イノシシについても勉強せねば。
Kyokoさんに教えを乞うた時には、よろしくお願いしますねっ^^