6/08/2008

蟻事を尽くして…



一昨日のことだが、帰り道、信号待ちでふと見ると、運転席のドアに、アリがいる。
なんだか、たいへんに慌てているようである。
まあ、アリって、そう見えるものかもしれないが。

窓を開けて、外へ吹き飛ばそうとしてふと思った。

ものすごい交通量の国道のど真ん中。
道路の両側には、ろくに土の部分などない。
たぶん、病院の職員駐車場(民家の敷地を間借りしている)か、我が庭か、どちらかの出身のはずの彼(彼女?)は、こんなところで放り出されても、生きられる望みはないだろう。


よし、じゃあ、うちまでついておいで。

しかし、うろちょろうろちょろ、どこへ行くか分かったもんじゃない。

          落ち着き無し。

どうしようか、何か容れ物ないか・・・
と、思いついたのが、お弁当の、果物を入れていたタッパ。
ここへお入りいただき、無事帰り着いた。


実は、タッパへ入れる際に、若干、押しつぶしてしまったので、心配していたのだが、そこはさすがアリ。
1分ほどで復活した。(あーー 良かった)


道中、助手席のタッパが気になって目をやると、タッパのヘリまで這い上がってきている。
そして、キウイの汁でベタベタになりすぎたらしい触覚や足を、懸命にきれいにしている。

         一心にお手入れ中

君、それどころじゃないんじゃないか?

朝、私と一緒に車に乗り込んだのなら、めでたく自分の巣にご帰還だが、職員駐車場から乗り込んだのなら、仲間とは永久にお別れだぞ。
これからどうしよう、とか全然思わないのか。
アリは、よそ者を受け入れてやるほど寛大なのか?

           イヤダネ

いささか擬人化しすぎなのは承知の上で、アリンコの
今後を案じたのだが・・・


当のアリは、そんな細かいこと気にしないらしい。
考えたってしようがないことは考えない。
とにかく、今自分にできる最大限のことをやってるというわけだ。

ほんとに、擬人化しすぎなのはよっく分かっているが、なんだか感心してしまった。

どうしようもないことに囚われ過ぎな自分。
とんでもない状況に陥っているのにも関わらず、泰然自若、落ち着き払っているアリンコ。


えらいなあ・・・
と、信号待ちのたびに、タッパを目の高さに持ち上げては、しみじみと眺めた。

周りの車からは、あの運転手、止まるたびに、なんで
弁当箱をしげしげ見つめてるんだろうと、訝られたかも知れない。



我が庭に放たれたアリ。
今頃、仲間とともにせっせと働いているか、それとも、他のアリの餌食になっているか。

今夜も、思い出すのである。




あ、アルゼンチンアリでないことは、ちゃんと確認
しました。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いいなぁ、アリくん、君にとっては充分すぎる果物の汁が残っているタッパにおさまってドライブしたのかぁ… (え? ハニフラさん、すでにタッパ洗っちゃってた?)

こういうお話、好きですよぉ。ハニフラさんが信号待ちでタッパを覗いてる光景、いのちを愛おしむまなざしが目に浮かびます。

アリくん、ハニフラさんちの庭でお友達はできたかい? いたずら盛りのホープ君のおもちゃにならないよう気をつけなよ〜。あ、それからもひとつ忠告だけどね、次もハニフラさんちに生まれてくるなら、アリマキに生まれちゃ駄目だよー。テントウ虫さんのごはんになっちゃうからねー!

※ホープ君のつぶらな瞳にメロメロです! これからのエピソード、楽しみにしています。でもハニフラさん、ワン君達の食費稼ぎにあまり無理しないでくださいね。あなたの元気が彼らにとって一番うれしいことなんですから。

匿名 さんのコメント...

最後の一行。
ハニフラさんの、この情緒と理性のバランス、素敵です。
わたしもそうありたいと日夜思ってマス。
しかし・わたしの車に乗り込んでいたら、このアリさんは、目には止まっても後は無視されふりかかった運命に、こんな思いを馳せられることもなかったハズ、、、。
、、、ハニフラさんの車でよかったネ。
案外丈夫なもんですよ。
たしか、アリはニオイで敵・味方を識別するので、最初の戦いで相手とがっつり組んでれば、相手のニオイを浴びて巣に入るとそのまま仲間化したりもするそうですよ。
最初の戦いを生き延びられるか・がポイントのようですね(笑。
こんだけ関心持たれた運命だ、ガンバレ、アリくん!
あとガンバレ?ホープくん!
、、、すでにがんばりすぎちゃってる?

匿名 さんのコメント...

前コメントに考え違いなことを書いちゃったので訂正します。
アリマキは殺虫剤なんかでやっつけられるより、テントウ虫に食べられた方がよほど自然にかなった「アリマキの生涯」ですよね。考えるまでもない当たり前なことなのに、バカなことを書いてしまったもんです。失礼しましたー!
もうひとつ。
アリ君が運ばれたタッパにはキウイの汁がちゃんと残っていたんですよね。そこを読み落とし「洗っちゃった?」なんて。そそっかしい、恥ずかしい。
でもアリ君はベタベタした足をきれいにしてたのかなぁ? おいしいっ!ってなめてたんじゃなくて?

ついでに…。「アルゼンチンアリ」のことを書いておられましたが、どんな生き物も自然の一部だけれど、大量発生など適正なバランスが崩れると困るわけですね(生態系を乱すのはいつもニンゲン)。

山を歩く者にとって夏場の悩みはヤマビル。外来ではないし以前から普通に山里にいたけれど、大量発生が問題。シカの生息域と重なるらしく、シカが増えたのはニホンオオカミの絶滅で天敵がいなくなったのが原因とか。関西では鈴鹿山系、関東は丹沢山系などがよく話題になります。

検索すると関連サイトが多数あって、苦手なむきには気絶モノの内容が満載(笑)。なかなかしぶとい問題のようです。
あるサイトには「犬の指の間に巣を作るので散歩から帰ったらよくチェック」と書いてありました。
湿った落ち葉の多いところをワン君が歩いた後は要注意、人間や犬にくっついてきて、その家の庭で繁殖を始めるそうです。
とはいうもののヤマビル発生地域でなければ心配はなく、まして都市部で暮らしていれば縁のないハナシなのでした(たぶん)。

ハニフラ さんのコメント...

Bunさん、ほぼ20日間もなしのつぶてでごめんなさい!

私、自分でも感情移入しすぎだと自覚しているのです。センチメンタルなのはあんまり好かんと言いつつ、おのれが一番センチではないか、と内心突っ込むこと多々。

でも、そんな自分の考えとは反対に、年々感傷的になっております。
年齢でしょうかねえ・・・

と、ちょっと自分にゲンナリしているところで、Bunさんのカラリと明るく、勢いのあるコメント。
この記事が、ジメッとした感じではなく、生き生きとしたアリさんの物語(大げさ?)に生まれ変わりました。
ありがとうございました!

ハニフラ さんのコメント...

ひよりさんも、お返事がめちゃくちゃ遅くなってごめんなさい。

情緒と理性・・・
うう、ひよりさんにそう言っていただけて、ホッとしました。
↑のコメントでも書いたのですが、自分でも感傷的すぎると反省していたところで。
擬人化するわけではないのですが、つい色々と想像してしまうのです。

ひよりさんの、先日の猫のエピソード(http://hiyori1028.blog22.fc2.com/blog-entry-129.html)も拝見しました。本当に美しい話でした。
あ、スミマセン、勝手にURL書いちゃった。皆に読んでほしくて、つい。(このコメント欄、ハイパーリンクがかけられないんです)

ほおお、アリは匂いがついてれば違う巣のアリにも受け入れられるのですか!
面白いですね〜!
そんなこと知ってるひよりさん、すごいなあ。

ハニフラ さんのコメント...

Bunさん、いえいえそんな、考え違いな内容なんて無いよう。
・・・スミマセン、本当に。

Bunさんの仰る通り、我が家にアリマキとして生まれてはいかんと思いますよ。
だって、掃討部隊が到着して2週間も立たない間に、アリマキ部隊はほぼ壊滅です。
三日天下でございました。

お弁当箱は、食べてすぐ洗ってたんですが、結局帰宅後洗い直すので、面倒になってそのまま持ち帰ってます。それが役に立った・・・のかしら?
ベタベタが嫌だったのではなく、おいしくてなめていたのでしょうか。きっと、そうですね!そう思おう。

ヤマビルがシカについて広がった話は、友人から聞いたことがあります。
私はヒルにやられた経験はありませんが、考えただけで卒倒しそうです。

実は我が庭や”広大な裏庭”でもヒルが発見されています。シュモクザメみたいな頭が特徴的なヤツらです。
Bunさんのコメントをきっかけに、思い切って検索してみましたら、コウガイビルで「吸血はしない」とありました。ホッ・・・
ん?「ミミズを補食する」?
だめじゃないかー!!

いやいや、ヒルはすべて吸血するものとばかり思っていました。お陰様で、またひとつ勉強になりました。

と言いつつ、散歩帰りに、今まで以上に犬たちの指の間を念入りに洗うようになってます^^;