四万十に来て間もない頃、張り切ってクレートを作った。
→『手づくりの家』
大阪ではDIYの本を何冊も買うだけ買って、道具も場所も作るべきものもないから、田舎に行ったらいろんなものを作りたいと夢だけ描いていたのだ。
その気持ちが先行するあまり、四万十に来てすぐ、ちょっとぶつかると歪む電話台を一つ作っただけで、早くもクレートなんぞに手を出したものだから、杉板に細釘を打ち込むという、どう考えても強度のきの字も期待できないしろものを作り上げてしまった。
それでも、ギコギコとひずみながらも1年以上は使ったのだ。
その後、いろいろ反省して、今度は
全然囲まれ感のない、クレートというよりただの仕切りみたいなものなんだが、それでも犬達は気が向いたら使ってくれていた。
しかしついに!
専門家に立派なクレートを作ってもらったのだ。
私自身によるものではないが、『手作り』であることには違いない。
私自身によるものではないが、『手作り』であることには違いない。
実は、我が家出身のグローネンダールが高知の嶺北に一頭いる。
その飼い主さんから、地元の杉を使い良い犬小屋を作ってくれるところがあると教わったのが5、6年ほど前のことだった。
まだ大阪に住んでいる頃で、犬小屋も特に必要がなく、一時はすっかり忘れていた。
きちんとしたクレートを自分で作るのは無理があるとようやく悟ったとき、思い出したのだ。
きちんとしたクレートを自分で作るのは無理があるとようやく悟ったとき、思い出したのだ。
さっそく問い合わせてみた。
写真や自分で書いた図面など、いろいろ送り、私の脳内で思い描くクレートを頑張って伝えると、それをもとにだいたいのプラン(サイズなど)・値段などの連絡をくれる。
その他に
も明示されるので、それを確認し、契約する旨連絡すると、前払い金の振り込み方法の連絡がある。
振り込むと、数日後にさっそく設計図を送ってくれた。
私がモタモタしていて図面に対する返事を送らないままにしていると、1週間後には「届いているか」「添付した図面が見られなければこちらの様式で」といった内容の確認のメールが届いた。
おお、これは、久しぶりの、ストレスなく仕事を依頼する感覚だ。

おお、これは、久しぶりの、ストレスなく仕事を依頼する感覚だ。

実は、四万十の職人さん達は本当に仕事がゆっくりだ。
2〜3日うちに連絡します、と言ってから2週間ほど音沙汰ないのはまだいい方で、何ヶ月も放ったらかしになることもある。
(そもそも連絡がひどく悪い。当日作業中止になっても何の連絡もないことも珍しくない)
(そもそも連絡がひどく悪い。当日作業中止になっても何の連絡もないことも珍しくない)
ある職人さんなどは、仕事を頼んでもなかなかやってくれない上に、「すみません、ボクすぐ忘れるんで、また言ってくださいね」とのたまった。
大阪にいる頃と同じつもりで対応していると、一年経っても仕事に取りかかってくれない(これホント)。
そしてその割に、自分が良いと思ったらこちらの意向を確認せずに勝手にやってしまう。
良かれと思ってやってくれているのは分かるが、迷惑だ。
それでいて、やってくれと念を押したことをやってなかったりすることもザラ。
それでいて、やってくれと念を押したことをやってなかったりすることもザラ。
私は腹が立っても、それを表現するのが苦手だし、あれこれと口うるさく注文をつけるのも苦手だ。
だがそれでは四万十の職人さんとはやっていけないので、「気難しい依頼主」にならざるを得ず、それがものすごいストレスになるのだ・・・
仕方なく、ひとつの解決法として、ここは外国だ、外国は日本と違って業者がルーズで約束を守らないのだ(外国に住んだことはないが、そういう話を時々聞くもんね)、と自分に言い聞かせてなんとかやっている。
仕方なく、ひとつの解決法として、ここは外国だ、外国は日本と違って業者がルーズで約束を守らないのだ(外国に住んだことはないが、そういう話を時々聞くもんね)、と自分に言い聞かせてなんとかやっている。
だから、テキパキと仕事を進めてくれるという、ただそれだけのことで本当に心地よく任せることができ、心楽しい一ヶ月強であった。
さて、具体的なクレートの話に戻る。
当然ながら、頼んだクレートにはいくつかこだわった点がある。
たとえば、床がないこと。
背板は、床から少し上まで空けること。
クレートと床との間にできる、ほんのわずかな隙間にほこりがたまるのがイヤだし、掃除機を床と壁の境目まできっちりかけられないのもイヤである。
それに、夏は犬達がソイルセラミックスの床で熱を取るのを好む。
工房Kさんからは袖板がグラグラでは安定しない、と扉下に枠が必要だと連絡があった。
<床無し>&<入り口もそのままクレート内まで掃除機を進められるよう枠無し>を希望する理由を伝えたところ、では入り口下にアルミ板をつけてはという提案があった。
アルミ板なんか付けたら安っぽくならないか心配だったが、どんなものか写真を送ってもらい、3mmととても薄いことや、付けた場合の感じも分かり、納得できた。

このように、気になる点は細かいところまでしっかり話し合って解決しつつ最終案ができあがった。
最初にコンタクトをとってからここまで、約一ヶ月。
そして私がゴーサインを出してから、「良いものができあがりましたよ!」という川村さんからのお電話まで約2週間であった。

いよいよクレートが届く日、記念撮影(?)をしてから、これまでのなんちゃってクレートを撤去し、床を拭く。

撤去直前、なぜか入居する黒犬達

あとはお客に慣れるまで時間のかかるウェルとホープを母の部屋に隔離し、工房Kの川村さんの到着を待った。

台風11号が去った8月13日のお昼前、約束の時間少し前に、川村さんは、手伝いの方と共に来られた。
ハニー&フラとソフィ・ルース・ブラウニーの見守る中、組み立てやすく作られたキット材を手早く運び込む。

部屋に杉の優しい香りがぷんと立ちのぼる。
おふたりで、時折犬達をあしらいつつ、あっという間に組み立てられた。
30分もかからないほどであった。




魔法のように出現したクレートに、少し促したらソフィがすんなり入り、たちまち中でくつろいだ。

その後は、スイカを食べながら川村さんと、お手伝いの方(Kさん)としばし談笑。
その間も、ソフィはすっかりクレートが気に入ってしまい、出てこなくなった。

ソフィの様子を嬉しそうにのぞき込む川村さん

川村さんは親しみやすく、穏やかな良い方で、かつ打てば響く頼もしさもある方だった。
また、ブラウニーが迷子犬だったことを話すと、撫でながら、
「良かったな、幸せなんやな。
精神状態が落ち着いているもんなあ。」
とぽそっと言われた言葉に、犬の事をよく分かり、よく見ることのできる方なんだと感動した。
川村さんになら、安心して次も頼める。
ハニー隊長が自分から抱っこをせがみに行ったのも驚きだった。
また、お手伝いに来て下さったKさんは、工房の方かと思ったら今日だけ助っ人を頼まれた四万十の方で、普段は丸太を使った細工をされているという。
一昨年、私が農協で買って猫の爪とぎにした丸太をふむふむと眺めておられた。(Kさん作のものではないらしい)
この方も感じが良かったし、丸太ももう1、2個欲しかったので、今度お願いすることになった。
こうしてご縁が広がるのは嬉しい。

ひと休み後、あっという間に荷仕舞いをしてお二人は去っていった。
後には、優しい趣のクレートと、そこからひろがる杉の香りが残った。
・・・と書けると格好いいのだが、お客が帰られたらどやどやとウェル&ホープが登場だ。
冷蔵庫の上や私の部屋に潜んでいた猫達も出てきた。
皆、知らない間に設置された見慣れぬ物体に警戒するかも知れん。
オヤツや何かで慣らそうか、などと考えていたのにふと見たら、もうこのようなありさま。

めっちゃ嬉しそうやなキミら!
クリスマスの朝に、枕元やツリーの根元のカラフルな箱を見つけた子供の如く、新しいクレートも見るやいなや、チェックするまでもなく犬猫達のお気に召したようだ。

猫チームで最初に入ってみたのはおむすび



杉の香りを味わう



愚弟がやる前に実は私がやった


扉を閉めた図


それにしても、ソフィが居座って出てこない。

ごめんよう、実はそれ、ウェル・ホープ・ブラウニー用なんだ。
そしてそこはウェルの部屋なんだよ。

夜になっても・・・
あまりの気に入りように、すぐにソフィとルースの分も注文すべく、貯金の決意を固めた飼い主なのであった。
それにしても、本当に良いものというのは、最初だけではなく、手に入れた後からじわじわと喜びが増していく。
日が経てば経つほど、見る度に、心が躍るようだ。

私も試しに一番大きい区画(ホープ用)に入ってみた。
おお、なんとくつろぐ空間だろう。
ここにクッションでも持ち込んで瞑想でもしたらいいかも、と一瞬思ったが、次の瞬間にはソフィとウェルがむりやり入り込んできてぎゅうぎゅうになった。

杉は暖かい、とのお話だったが

本当にそのとおり

犬も猫も気に入ってくれて良かった
(人間も)

なに、おむすび!?ひと部屋狙ってるの?
けっこう本気で、たまに自分も使おうと思ったのだが、狙う者が多すぎる。
いっそ私用のクレートも注文するべきか。
当然ながら、頼んだクレートにはいくつかこだわった点がある。
たとえば、床がないこと。
背板は、床から少し上まで空けること。
クレートと床との間にできる、ほんのわずかな隙間にほこりがたまるのがイヤだし、掃除機を床と壁の境目まできっちりかけられないのもイヤである。
それに、夏は犬達がソイルセラミックスの床で熱を取るのを好む。
工房Kさんからは袖板がグラグラでは安定しない、と扉下に枠が必要だと連絡があった。
<床無し>&<入り口もそのままクレート内まで掃除機を進められるよう枠無し>を希望する理由を伝えたところ、では入り口下にアルミ板をつけてはという提案があった。
アルミ板なんか付けたら安っぽくならないか心配だったが、どんなものか写真を送ってもらい、3mmととても薄いことや、付けた場合の感じも分かり、納得できた。

このように、気になる点は細かいところまでしっかり話し合って解決しつつ最終案ができあがった。
最初にコンタクトをとってからここまで、約一ヶ月。
そして私がゴーサインを出してから、「良いものができあがりましたよ!」という川村さんからのお電話まで約2週間であった。

いよいよクレートが届く日、記念撮影(?)をしてから、これまでのなんちゃってクレートを撤去し、床を拭く。



台風11号が去った8月13日のお昼前、約束の時間少し前に、川村さんは、手伝いの方と共に来られた。
ハニー&フラとソフィ・ルース・ブラウニーの見守る中、組み立てやすく作られたキット材を手早く運び込む。

おふたりで、時折犬達をあしらいつつ、あっという間に組み立てられた。
30分もかからないほどであった。





その間も、ソフィはすっかりクレートが気に入ってしまい、出てこなくなった。


川村さんは親しみやすく、穏やかな良い方で、かつ打てば響く頼もしさもある方だった。
また、ブラウニーが迷子犬だったことを話すと、撫でながら、
「良かったな、幸せなんやな。
精神状態が落ち着いているもんなあ。」
とぽそっと言われた言葉に、犬の事をよく分かり、よく見ることのできる方なんだと感動した。
川村さんになら、安心して次も頼める。
ハニー隊長が自分から抱っこをせがみに行ったのも驚きだった。
また、お手伝いに来て下さったKさんは、工房の方かと思ったら今日だけ助っ人を頼まれた四万十の方で、普段は丸太を使った細工をされているという。
一昨年、私が農協で買って猫の爪とぎにした丸太をふむふむと眺めておられた。(Kさん作のものではないらしい)
この方も感じが良かったし、丸太ももう1、2個欲しかったので、今度お願いすることになった。
こうしてご縁が広がるのは嬉しい。

ひと休み後、あっという間に荷仕舞いをしてお二人は去っていった。
後には、優しい趣のクレートと、そこからひろがる杉の香りが残った。
・・・と書けると格好いいのだが、お客が帰られたらどやどやとウェル&ホープが登場だ。
冷蔵庫の上や私の部屋に潜んでいた猫達も出てきた。
皆、知らない間に設置された見慣れぬ物体に警戒するかも知れん。
オヤツや何かで慣らそうか、などと考えていたのにふと見たら、もうこのようなありさま。

クリスマスの朝に、枕元やツリーの根元のカラフルな箱を見つけた子供の如く、新しいクレートも見るやいなや、チェックするまでもなく犬猫達のお気に召したようだ。











それにしても、ソフィが居座って出てこない。

そしてそこはウェルの部屋なんだよ。

あまりの気に入りように、すぐにソフィとルースの分も注文すべく、貯金の決意を固めた飼い主なのであった。
それにしても、本当に良いものというのは、最初だけではなく、手に入れた後からじわじわと喜びが増していく。
日が経てば経つほど、見る度に、心が躍るようだ。

私も試しに一番大きい区画(ホープ用)に入ってみた。
おお、なんとくつろぐ空間だろう。
ここにクッションでも持ち込んで瞑想でもしたらいいかも、と一瞬思ったが、次の瞬間にはソフィとウェルがむりやり入り込んできてぎゅうぎゅうになった。




けっこう本気で、たまに自分も使おうと思ったのだが、狙う者が多すぎる。
いっそ私用のクレートも注文するべきか。