我が家の玄関先に、小さな植栽スペースがあります。
穴掘り職人、ソフィの働きにより、正面玄関にも関わらず、ここしばらく、こんなことになっておりました。
これまで、直しては掘られ、直しては掘られ、いたちごっこを繰り返した挙げ句、我らの直す気力が尽きてしまい、数週間というもの、このまま放置されていたのだ。しょっちゅう直すから、しょっちゅうレイアウトが変わる。これは2年前。
でも、いつまでも荒れ果てたままというわけにはいきません。
先日、遂にガーデンデザイナーが重い腰を上げました。
タダ働きのガーデンデザイナー、私です。
以下、作業手順です。
まず、玉竜、黒竜、ギボウシを注文。 玉竜
黒竜
植物が届くまでに、ボサボサに伸び放題だったオリヅルランを、全部撤去。(別の場所に移植)
ハンギングバスケットの中では和風で涼やかなオリヅルランが、地植えにするとこんなにも巨大化するとは予想外だった。根っこなど、大根のように肥大している。厚かましいことこの上ない。
オリヅルランは、空中で楽しむべし。生後3ヶ月頃のホープと、爆発的に茂り始める直前のオリヅルラン。お尻の横に、覆輪沈丁花が見えています。
次に土壌改良。
ここは、地下に配管があり、あまり水はけが良くない。おまけに北向きである。さらに、一部は時々、犬のおしっこ攻撃を受ける。
そこで、パーライトを大量に混ぜ込んだ。さらに、土壌改良材・有機肥料はもちろん、ニーム顆粒も加えた。
ここで、岩をたわしでゴシゴシこする。
こびりついた土は、水で流したって落ちやしないのだ。
すると、岩や敷石の色が変わる。
というか本来の色に戻る。
頭の中で思い描いたイメージに合わせて、植物を植え、砂利を敷く。
砂利は、庭の各所で、穴掘りクラブの活動により土に埋もれていたものを、フルイにかけ、水洗いし、利用。文字通り、土に埋もれてる。
洗いの途中。だいぶきれいになった。
土の上にそのまま敷くと、徐々に埋もれてしまうので、鉢底ネットを置き、その上に砂利を載せるようにすると、砂利の量も少なくてすむし、いつまでも土と混ざらずきれいである。たぶん。(自己流)
このとき、ネットの下に銅板のかけらを仕込む。どうか、ナメクジが減りますように。なーむー。
もともとあった植物のうち、沈丁花は悪条件のためにコセてしまったのが怪我の功名、逆に面白い樹形になっているので、そのままにして、根元に苔を移植。苔は、朴の木の鉢からひっぺがした。
ガーデンシクラメン、シランも生き残っていたので少し場所を移動して再利用。
ヒメツルソバは、息も絶え絶えだったのと、元気を盛り返すと逆にはびこりすぎるので、撤去。
実生で勝手に生えてきたヤツデを、少し横に移動して良い位置に移植し、利用。ヤツデと、在りし日のヒメツルソバが見えるでしょうか。
届いた玉竜、黒竜、ギボウシも植え込む。
ギボウシは覆輪のものが多いし、個人的にはファイヤーアンドアイスが好きなのだけど、沈丁花が覆輪なので、覆輪だらけでは雑然としてしまうから黄金葉のゾウンズにした。芽だし時分からとてもきれいです。
完成!
深山から川(玉竜)が流れ出し、下流に至る情景を描いたつもりです。
玉竜は、これから広がって緑の流れになる予定。
私はオージープランツ(オーストラリアの植物)が好きなのですが、ここに自分の趣味を当てはめてしまうといかにもそぐわないから、仕方ありません。
めいっぱい和風に仕上げてみました。私の愛樹のひとつ、スノーウィーリバーアカシア。
オージープランツです。
今の心配は、苔が活着してくれるかどうか(けっこうデリケートで、移植で失敗する)。
それと、ガーデンシクラメンが弱って葉を全部枯らしたこと。
球根はまだしっかりしているので、芽が出てくれるといいのだけど・・・
と、いうわけで、ガーデンデザイナーのご用命はお気軽にどうぞ!
年中無休です。 穴掘リハ当方ニ!
(えーっと、念のため。ご用命は承っておりません。)
4/21/2009
庭師出撃
4/18/2009
夜の訪問者
さて、もう”いまさら”の感もある信州最終夜ですが・・・
お正月に、犬たちの食料危機があったことを覚えておいでだろうか。
姿は見えねども、おそらくきつねにやられたと思われたあの事件。
今回、犯人が明らかになりました。
3月17日の大犬どもの朝ご飯は、こちら。(写真を撮らなかったので、なみかたさんから拝借)
ラムのランバーボーン、つまりは腰椎です。
みんな喜んでくれるだろうと思ったのですが、うっかり忘れていました、ガディ爺さんのラム嫌いを。
最初は喜んで飛びついたものの、一口、二口齧って、
「ヤッパリダメ・・・」
と放棄してしまったラム骨。 食ベンモンネ〜〜
まー にくらしい。
けっこう大きいので、さすがに他の連中に食べてもらうというわけにはいかない。
とりあえず、ビニール袋に入れて、冷蔵庫に保管。
他の4頭も、周りはきれいに齧り尽くしているが、
椎体(背骨の本体部分)はさすがに噛み砕けないようで残っている。
こんな感じ。(もうちょっと食べてるけど)(これもなみかたさんから無断拝借)
あまり丈夫なところをガリガリやって歯が欠けても困るので、
(実は既にちょっと欠けてるんです、うちの連中) 見ル?
チョット待ッテネ・・・
ホラ!
残りは回収して、こちらはゴミ箱行きとなった。
さて、夕方。
ガディのまるまる残した分をどうしよう、と母と相談。
敷地内に放って帰ったら、野生動物が食べるんじゃない?
もし動物が食べてくれなくても、自然に腐って分解されれば肥料として還元されるから、ゴミにするよりまだ羊も浮かばれるかも。
でもまてよ。
せっかくなら、今夜置いたらどう?
明朝、うちの犬たちが見つけないような、敷地の奥の方に置いておこうよ。
そうしよう、そうしよう・・・
ということになった。
夜の帳がおり、辺りが真の闇になってもすぐには家に入れてもらえない犬たち。
(家の中で彼らが自由にできるスペースがほとんど
ないので)参照画像(普段は照明はない。撮影用に点灯)
と、急に彼らが吠え始めた。
まさか、雪の中、夜の山を散歩する酔狂がいるのか?
それとも、獣か?
プロムナードの外灯を点けて(普段は電気代がもったいないので消している)デッキに出てみれば、我が敷地の入り口付近で、ソフィさんがなにやら隠密行動中らしく、旗のように立てたしっぽを、左右にワサワサと振っている。
何か野生動物でもいたのだろう。参照画像(いつもの公園で撮影)
残りの根性なし連中はデッキに残って、そちら方面に向かって、遠くからやんややんやと吠えていた。
冴えないね、お前たち。こちらも参照画像
それからしばらく経って、ぼちぼち犬を家に入れることに。
当然、年功序列なので、まずガディ。
続いてソフィ、ルース、と屋内に収納。
ガディだけは足を洗わねばならない(室内ウロウロを許されているので)し、他の連中も一応足の裏を拭いて入れる(クレートがあまり泥だらけになるのも嫌なので)し、また、入れる際に、一頭一頭、体のチェックとコミュニケーションを兼ねてタッチングをしているので、けっこう時間がかかる。
ちょうどルースを撫でているときだった。
少し離れたところから、激しい叫び声が響いた。
ギャーッ、ウギャギャギャ・・・と、ちょうど、赤ん坊がひせって泣くような、異様な声。
もしチワワが外に出ている時だったら、きっとチワワが獣に襲われたんだと思ったろう。 怖イヨ
うん、それよりフラ、頭が焦げるよ
急いでウェルとホープを呼び戻し、家に入れると、叫び声は治まった。
母と外に出てみたが、闇は静まり返っている。
ムササビかな、それとも、小動物がきつねにでも捕まったかな?なにか威嚇するような声でもあったね、 コンナ?
と話しながら家に入ると。
ガディ爺さんがトイレを要求していた。
えー・・・
今しがた、わけの分からない叫び声がしていた山の中に、爺さんとふたりで出ていくのは気が進まなかったが、仕方がない。
そうそう、ついでに、件のランバーボーンも置いてこよう、と冷蔵庫から取り出してデッキを降りかけていると、母が屈託なく声をかてきた。
「なるべく遠くに置いた方がいいんじゃない?」
鬼ー・・・
もちろん、暗い林の奥までなんて、行くものか。
ガディさんがおしっこしてる間に、デッキから5mほど離れた、テーブルセットの陰にボーンを置いてみた。
ここなら、人や犬の気配からは少し物陰になっているから、いいんじゃないかしら、と思って。
きびすを返してガディの元に戻り、うんこをするよう促す。(小分けに要求されるのはかなわんから)
ワシ、今ハシトウナイ、と言うのを、悪いこと言わないから頑張ってみなさい、と励ます。
ソレデハ、とテーブルセットの方に少し進んで、きばり始めたガディが、ふと顔を上げた。
何かいるの、ガディ?と私も家の方を見た。
そのとき。
小さな影がデッキの陰から走り出てきて、ウンチングスタイルのガディの目の前3mほどのところを横切り、テーブルセットの横をかすめて、敷地の林の奥へと消えていったのだ。
あっという間だったが、姿をしっかり見るだけの時間は十分あった。
きつねだ。
結構小さい。ふっさりした尻尾は長いが、胴体だけなら、コーギーくらい(もっと細身だが)しかないんじゃないか。
毛色は枯葉色でちょっと黒っぽかった。これはホの字(5ヶ月くらいの頃)
早くも匂いを嗅ぎ付けてきたのか。
でも、立ち止まってボーンをくわえた様子はなかった(一直線に突っ走った)し、第一、あの体ではボーンを運ぶのはひと苦労だろうと思いつつ、念のため確認。
・・・つい1、2分ほど前に私が置いたばかりのランバーボーンは、影も形もなかった。
無事うんこを完了したガディのお尻を押してデッキを上がり、部屋に戻って母に報告すると、母も興奮して、「見たかった!」とくやしがる。
へへん、私だけ怖い思いをさせるからだ。 罰ガ当タッタ
そういえば、昼間捨てたランバーボーンの残り、ぶきっちょルースなんかはけっこう身も残っていたし、あれも置いてあげたらどうだろう、とゴミ箱から掘り出して、母と二人して同じ場所に置く。
時々覗いてみたけど、さすがに今度はすぐには来ない。
さっきの獲物も食べてるだろうし、巣が遠いかもしれないしね。
約1時間後、骨が無くなっていることに気づいた。
(ガーデンテーブルの陰だが、洗面所から見えるのだ)
同時に母が、「そこにいる!」
洗面所のガラス窓のすぐ下、目と鼻の先に、立派なきつねが立っていた。
デッキへ上がる階段の下で、あたりを調べている。
そして、悠然と片足をあげ、カツラの木の根元にマーキングをした・・・
(翌日観察してると、みんながチェックしていた↓)
我が家の犬たちと雰囲気がそっくりで、まるで自分の犬を見ているような気がする。
それにしても、さっきよりずいぶん大きい。貫禄も迫力もあるし。
お父さんぎつねだろうか?
そこではっと気づいて、私はビデオカメラを取りに行ったのだった。
それでは、ほんとに一瞬ですが、どうぞ。
このあと彼は、薪小屋の方に行ったり、家の正面からこちらを見上げたりしてひとしきり散策してから、闇の中に姿を消した。
おそらく、林の中から響いた声は、きつねのものだったのだろう。
ソフィ・ルースがいる間は、犬たちの方が優勢だったに違いない。
数でも勝っているし、それにソフィなら、きつねにも勝てるだろう。(百戦錬磨なので) フッ
上位の犬たちが一頭ずつ家に入り、ウェル・ホープと下っ端だけになったところで、形勢が逆転したのではないだろうか。
きつねのほうが優位になり、威嚇し始めたのだ。
「俺たちの時間だ、早く引っ込め」と。
(だから引っ込んだら静かになった) 負ケチッタ
きつねは一頭でなく、家族で動いていたのだろう。
むこうみずな子どもが、肉の匂いに勝てず、人間と犬がいるにも関わらず飛び出してしまった。
父ちゃんに、
「軽率なことをして!」
と叱られているやら、
「うんうん、お前も一人前になった」
と誉められているやら。
実はこの前夜、夜中の3時にホープがトイレを要求したので外へ出してやり、そのまま忘れて私が布団で眠り込んでしまい、朝6時まで雪の中で放ったらかしになるという出来事があった。
その後、昼頃に2回ほど、ホープは白っぽい水様便をした。
母が言うことには、
「きつねとかを襲って食べて、お腹壊したんじゃ
ないの?」
んなもん無理無理!と一蹴した、その時の私の言葉を、母は遅ればせながら納得してくれたようである。 シュン
明日からは、おいしい思いはできないきつねたち。
私たちに、ひととき、野生の生活に思いを馳せる時間をくれた彼らに感謝しつつ、我らは何の残飯も残さず
次の日山を降りた。