めえ太の耳に切れ込みが入った。
時は先週金曜日の夕方、犯人はルースである。
めえ太は挨拶代わりに頭突きをするので、犬たちは初めの頃、やめろという意思表示で口を当てようとしていた。

昨年10月4日
角切りしてない頃
本気で咬むことはないのだが、痛さの元凶であるツノの近くにあって、ちょうどよく口を当てやすいのが・・・
めえ太の大きな耳である。
また具合の悪いことに、耳の皮膚が薄くて弱い。
間近で見ても、まったく乱暴にしていないのに、めえ太の耳には細い傷がつき、血がにじむ。
それで、どんなにそうっとであろうと、めえ太に口を持っていくことを犬たちには厳しく禁じた。

皆、ちゃんと守って、めえ太に対しては抗議の声を出したり、咬むふりをしても、実際に口を当てることはなくなった。

いっぽう、めえ太の方は、ヤギである以上、犬たちに頭突きをするなというわけにはいかない。

そこは、私の仕事だ。
実際に犬たちにツノを当てることがないようにはもちろん、あまり間近で頭突きの寸止めをしないよう、さりげなく間に入ったり、めえ太や犬をちょっと移動させたりするのである。
めえ太の頭突きについてはいずれ書こうと思っていたが、彼の挨拶であり愛情表現なので、犬が負担に感じないやり方の時は、させている。


今回は、一部始終を見ていた。
ルースのウン切れが悪く、お尻が汚れたので洗おうと、ホースを取りに私が群れから5、6m離れたのだ。
ホースの操作をしながらも、めえ太の様子を観察はしていた。
めえ太がルースに正面から近づいて、後脚で立ち上がって頭突きの寸止めをする。
ルースは歯を剥き出して(いわゆる意地悪顔)「やめんかい」の意思表示をしながらワンワン、と吠えた。

険悪な雰囲気ではなく、ここまではよくあることだ。
ところが、「ワンワン」に合わせて、よせばいいのに軽く飛び跳ねたルース、後ろ足がよろめいて、そのまま尻餅をついてしまった。
(7月に15歳になるルース、ちょくちょくよろめきます)
バランスを崩し、一度めえ太に向かって前のめりに倒れかかるようになり、それから後ろに転んだ。
ルースの口から、めえ太の左耳がしゅるん、という感じで抜けるのが見えた。
ワンワン言ってる勢いで転ぶときに咥えてしまったのか、たまたま口に入ったのかまでは分からない。
彼らに背中を向け、顔だけ振り向いてずっと見ていた私も、「あれでは歯が当たって血が出たかもしれない」とは思ったが、まさかあそこまですっぱり裂けているとは思いもよらなかった。

決まりを破れば、故意でなくても、叱られるのが我が家の方針である。
思い切りルースに雷を落としてから、めえ太の傷の確認をして、傷の大きさに驚いた。
めえ太は別に怯えるでもなく、怒るでもなく、平然としていた。
血もほとんど出ていない。
ルースのお尻を洗うつもりだったホースで、めえ太の傷を洗う。
その時になって初めて出血し始めた。
だが洗わないわけにはいかない。

その夜は早めに小屋に入れ、傷口に軟膏を塗った。
めえ太はまったく気にしていないが、顔にも、背中にも、血がついてたいへん凄まじい姿になっていた。

翌日は、左耳は少し赤く熱を持って腫れていた。


膿んでいるというわけではなかったが、念のため、夜、キャベツにマヌカハニーを塗って食べさせた。
処置としては、毎朝しっかり流水で洗い(受傷翌日は夕も洗った)、夜に軟膏を塗り、マヌカハニーを舐めさせる。
特別にバナナも1日1本やっている。
医学的にではなく、なんとなく元気がつきそうだし、もともとバナナ大好きなので、喜ぶから・・・
翌々日(日曜日)には腫れも引いており、経過は順調だ。


だが、裂けたままにはなりそうだ。

良いことには、めえ太自身がまったく気にするそぶりを見せないこと。
それが一番である。

傷も気にしないし、犬たちとも仲良くやっている。
ただ、土曜日は、妙にねちねちとルースにつきまとっていたが、なんだっただろう。

めえ太、やめなって



また意地悪顔してるな

つきまとうめえ太と、めえ太の傷洗いの動画を作った。
(わりとだらだらした動画になってしまった)
1分20秒くらいから、私が喋りまくっています。
騒がしくてすみません・・・