11月1日金曜日。
キャラバンの後部に、今まで以上にクレートをぎゅうぎゅうに詰めて大阪へ民族大移動。
さすがにもう満タンだ・・・。
おむすびも、我が家加入1週間目にして初めての大移動だ。
ケージもバラして積み込まねばならなかったため、出発準備に時間がかかり、オオサカ先生の診療時間内に間に合わなかった。

シマント先生から、インターフェロン連続注射については一日くらい抜けても大丈夫と聞いていたし、前日の夜に初回を打っているので、明けて朝一番に行けば問題ないだろうということでこの日は諦めた。

翌朝、さっそく受診。
まずはひととおり全身を診て頂く。
顎下リンパ節と膝窩リンパ節の腫脹があるが、耳疥癬や尾の怪我のせいと考えても矛盾はないだろうとのこと。
顎下リンパ節が500円玉サイズに腫れていることは保護当初から気になりつつ、毎回訊き損ねていたことだったので、ほっとした。


体は小さいが、やはり1歳は過ぎているだろうということだった。

診察の終盤、クレートに戻って静かにしているおむすびを見ながら言った。
「もしどうしてもダメだったら、里親さんを探さないと。
でも、なかなか難しいですよね。
本当はうちで飼いたいのですけど・・・」
オオサカ先生は、そうですねといったんは頷き、それから猫白血病の感染力について詳しく教えて下さった。
一番の感染経路は交尾と喧嘩であり、猫同士の単なる接触だけでは感染しないことが多い。
食器を一緒にすることは基本的には御法度だが、実際にはそれでも感染せずにすむことも珍しくない。
ケージ越しの接触くらいではほとんど心配は要らないだろう。
などなど。(他、ウイルスに関する専門的な話も)

実際に先生が診られた例では、ある飼い主さんが、多頭飼いの中へ白血病と猫エイズ両方のキャリアの子を一緒にせざるを得ない状況になったが、その後何度検査しても、他の猫達にうつっていないという。
私は、ケージは当然のことながら、周囲の床も消毒し、えさ入れも水入れも、毎回熱湯消毒をしていた。
使い捨て手袋も使っていたが、それでも手を洗いすぎてガサガサになっていた。
もちろん、白血病陽性と分かってからネットで調べ、あまり感染力は強くなく、消毒もしやすいことは知っていたが、ネットの情報だけでは加減が伝わらず、どうしても慎重になってしまう。
そこまで神経質になる必要はないと分かって、肩の力が抜けた。

さらに、白血病ワクチンについての新しい情報も教えて頂いた。
白血病ワクチンではまれに肉腫が誘発されることがあり、こげもちの場合は、今後完全室内飼育なら、あえてそのリスクを冒す必要はないだろうということで打っていなかった。
今後も、たとえおむすびのためとは言え、こげもちにそのワクチンを打つことには抵抗があった。
しかし、つい最近、日本でも新しく肉腫誘発性のないワクチンが認可されたというのだ。

なんだか希望が見えてきた。

四万十の病院でおむすびが白血病陽性だと分かったとき、たてつづけに20回くらいは、
「かわいそうに」
「こんないい子なのに、なんで」
と言わずにいられなかった。
本当に胸が痛んだ。
でも、元来長続きしない性格なので、わりとすぐに気持ちが変わり、
「これからはうんと幸せに暮らそうね」
と繰り返した。
野良で寂しい思いをした分、最高に幸せにしてやろうとやる気が漲った。
そしてすぐに、我が家では他の子と一緒にしてやれないことに気づく。

そうだ、可哀想なのはこの子じゃない。
私だ。
おむすびは、自分の寿命を憂えたりなどしない。
うちにいられなくても、良い飼い主さんの元で暮らすことができれば彼女は幸せなのだ。
私がこの子と一緒に暮らせないから悲しいので、私がそれを悲しまなければ、可哀想な者は誰もいないことになる。

シマント先生が、白血病陽性の子はほとんどが長くて5年くらいしか生きられないと言った。
悪くすれば2~3年。野良のままならもっと短いだろうと。
良かった、保護できて。
ならば生ある間、めいっぱい楽しく暮らせるように、よいお家を見つけてやるからね。

だが、ほとんど役には立たないだろうというニュアンスだった。
効果があるのは感染初期のみで、慢性化したら無意味であり、この子は感染したてとは思えない、という理由だった。
1本いくらか聞いてみたら3500円くらいとのこと。
ガディが癌の手術をした後は、数ヶ月のあいだ週に一回インターフェロンを打ちに通ったのだが、1本一万円した。
もしそんなにかかったら、貯金が底をついてる今はとても無理だが、3500円ならなんとかなる。

シマント先生に確かめてみた。
「打っても、まったくもって無意味ですか」
先生はうーんと唸ってから答えた。
「まあ、難しいでしょうね」
その答えを聞いて、打つことに決めた。
もし、先生が「打つだけ無駄でしょうね」と即答したら、考え直そうと思っていた。
だが、「99.9%無駄」であっても、「100%無駄」でないのなら、試してみる価値はある。
お願いすることになった。

ともかく、オオサカ先生のところで、連日3日インターフェロンを打ってもらった。

ちなみに、おむすびは待合室でも診察室でも、いい子だった。
大きな犬が吠え続けていても、隣のミニチュアダックスがクレート越しにそっと覗き込んでも、あまり気にしなくて、私がフタについた窓を開けて手を入れてやったときだけゴロゴロ言っていた。

大阪の家では別室が少し離れて人の気配が伝わらないせいか、元気がなかった。

あまり食べなくて、せっかく2.9kgまで増えた体重が、最終日には2.7kgまで減ってしまった。
それでも、インターフェロンの効果に関わらず、一緒に暮らせる希望が出てきたことは私にとってなによりの収穫だった。

10 件のコメント:
ハニフラさん、かちょええ。男前(笑)ほれぼれするわ~♥♥♥
全ての可能性を探りながら、今は治療と体力をつけることに専念して・・・おむすび、遠いところからだけど応援してますよ。
ハニフラさんといちゃいちゃするのが一番のお薬なのかも(o^-^o)
99.9%無駄でも100%じゃなきゃ諦める訳にはいきません!!頑張ってください^^
陰転しろー、陰転しろー、陰転しろー(念)
そしてハニフラ農場の子になーーれーーー!←こっちがメイン(笑)
おむすびちゃん、栄養失調&負傷に寄生虫と盛りだくさんながらも瞳はしっかり光があるように思います。
猫白血の陰転は成猫でも例はあるようですから、おむすびちゃんの底力を信じてどうか頑張って下さい!
『可愛そうなのは、この私』に目からうろこ。
確かにそうですよね。
いつも人間だけがいらぬ心配をして勝手に不幸を作る。
猫や犬は今しか見ていないのに。
だからその今を最高にできて幸せだと思えたら猫も犬も幸せなはず。
きっと右往左往している人間の気持ちは伝わるから。
ハニフラさんの気持ちの切り替えと
それを支える裏付け?にほれぼれします。
おむすびが最高に幸せな猫になれますように☆
ブログ再開しました。
今日から大阪一人暮らしです?!
我が家でも捨て犬事件がありました。
みんないろんな運というか運命だなぁと思いました。
最近ブラウニーはお元気?
ベックマンさん、いやいやそんなかっちょええ感じじゃなく、あまり難しく考えてないだけです^^
遠いところからでもベックマンさんのパワーは強力に届きます、ありがとう!
ふふ、ベックマンさんのその台詞を信じて、いちゃいちゃしまくってますよ(笑)
JOJO父さん、ありがとうございます。やってみなくちゃわかりませんものね。
頑張って体作り中です。
ちりはことさん、すごい念が届いた気がします、ありがとうございます。
おむすびはどこに行っても幸せになれると思いますが(性格がいいので)、私がなんとしてもおむすびと暮らしたいので、頑張っております。
新しいワクチンがあるといっても、おむすびのことを思うと、やはり何とか陰転してもらいたいですね。
陰転しろ〜〜〜。
ぴっぴさん、そうですよね、今を最高にしてやることが大事、仰る通りです。
ここ最近のようにぐいぐい寒さが厳しくなると、保護してやれて本当に良かったなあと嬉しくなります。
つい要らぬ心配をしそうになった時は、犬や猫達を見ます。
彼らの様子を見ることで、ああそうだった、過去を思いわずらってはいけないんだと思い出させられるのです。
彼らは生き物として本当に立派です。
ウズラちゃん、大阪一人暮らしってなんだなんだ?と思ったら、一瞬で北海道へ帰っちゃったんだね。
それぞれに運命があるのだと思うこと、多いです。
捨て犬事件の顛末は?またブログに書いてね。
ブラウニーは元気ですよ。
毛の抜け替わりの時期らしく、えらい目にあってます。
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