さて、柵。
当地へ越してくる前に、ちゃんと家の周囲にフェンスを作った。
つもりだったんだけど・・・
全然ちゃんとしてなかった。
今、ソフィが好き勝手に走っているこの土手。
少しカメラをずらしてみると、見えてきたのはフェンスではないか!
ホープに実演してもらおう。
フェンスの意味なし。
誰かがゲートに、いや、最近ではうちへむかう脇道へやってくると、黒い連中がすかさずフェンスを越えて出動、”不審者”を追い払い、なわばりを守るという任務を遂行しようとする。
呼びもどせばすぐ戻ってくるけれど、吠えられる方にすればそういう問題ではない。
なにせ何やら分からない黒い集団がなだれをうってこちらへ突進してくるのだ。
『隔てているはずのフェンスを越える』というワンステップを踏むせいで、かえって怖さが増す。
しかも、近づいてみれば、なんとも人相の悪そうな顔つきである。
耳は立ってるし口は尖ってるし目は小さくて冷酷そうだし。
白状すると、ガディを家に迎えたその日、今まで見慣れたジャーマンシェパードの目とまったく違う、小さくて冷めたようなつり目を見て、私はちょっぴり不安を感じたものだ。
「私はこの犬と心底打ち解け合うことができるんだろうか?」と。
今から思えば笑い話だが。

来客に対してのこともあるが、ソフィが農業道路まで出張するようになったことも大きい。
先月の雪のちらつく日、窓から外を眺めていると、農業道路を走って来た高所作業車が、急に速度を落とし、うちへの脇道に入ってきた。
今日なんか作業があったかしらと出てみると、道ばたにこぼれ出ていたソフィを発見し、「せんせーとこの犬が出ちょう」と追い込んでくれたのだった。
あ、ありがとうございます!!
うちの前は、下りカーブの後で見通しが悪く、反対方向からの車だったらはねられていたかもしれない。
こちらの車は、尋常じゃないスピードでとばすので恐ろしい。

で、ようやく貯まり始めたなけなしの貯金をはたいて、柵を作ることに。
これは素人が危ういものを作っても意味がないので、プロに頼んだ。
まず年末年始でこちら。
家のまわりのフェンスがけっこう目立たなく、造作も丁寧だったので、同じ業者さんに頼んだ。
完成したところで、さっそく周りに苗木を植えた。
地べたが固いので、掘るのがたいへん。えっちらおっちら、足かけ二日かかったぞ。
先週こちら。
これは家周りの造成を頼んだ造園業者さんに、敷地の竹を切ってもらうついでに、その竹を利用して作ってもらうことに。
きっちりしすぎた感じにならないよう、縦の竹の高さをテキトウにして、という我らの意見をちゃんと入れて予想以上のいいものを作ってくれた。
これから色あせてくれば、もっと味が出るだろう。

これで何の心配もなくなった。
近くへ作業(畑仕事とか、養蜂巣箱のチェックとか)しにきた人に犬たちが「すわ!」と緊張して柵ぎわに結集しても、こちらがゆったり構えていると「あ、いいのね」と理解する様子。
やはり設備というのは大事だ。
田舎で敷地の周囲を囲うのは少し気が引けるが、ちょうど正月明けに地区の集会があり、前年転入した挨拶をする機会があったので、そのときに事情も説明できた。
やれやれ、ひと安心。
ソフィさん、道にこぼれられなくなって残念だったな。
