5/12/2016

幸せなバイバイ






昨年9月、いつもアニューと遊ぶ浜辺のそばで子猫と出会った。
(その時の話はこちら→『おじやさん』)


脱水と栄養失調で限界だった子猫「おじや」は、人懐こく穏やかで、本当にいい子だった。
保護後2週間と少し
獣医さんでもずっとゴロゴロ
とにかく人にくっつきたがる

でも、飢えの記憶が、食べるときだけはおじやを別の猫にした。

おじやも、おじやの数ヶ月前に保護した「おこぶ」も、猫白血病ワクチンの効果が出るまでまだ我が家の猫たちとは隔離しておかねばならず、必然的におこぶ&おじやコンビで遊ぶことになった。
探検隊がゆく

おこぶは体はでかいが心は優しく、おじやが柵越しにおこぶの餌を奪ってもちっとも怒らなかった。



おこぶを保護していなかったら迷いなくおじやをうちの子に迎えたが、さすがに5匹となると手一杯だ。
無理なわけではないが、次に保護が必要な猫に出会ったときの余裕を残しておきたかった。

おじやは性格がいいのに加えて、まだ小さい。
里親探しをするなら、デカくて通好み(?)のおこぶより子猫のおじやだと思った。

それで、ごく限られた友人に、あてがないか頼んだのだ。
その際の条件は三つ。

完全室内飼い。
去勢手術をする。
飼えなくなりそうならすぐ私に連絡をくれること。

範囲は、友人の直接の知人までに限らせてもらった。
私が信頼する友人が太鼓判を押してくれる人なら、私も信用できる。

これぞという里親さんが見つからなければ、我が家で迎えるつもりではいた。

頼んだ友人達からはあまり見込みがなさそうな返事ばかりで、1ヶ月経つころには、すっかり情も移り、もううちの子にしようと8割方思い始めていた。



そんな時、ハニーが突然逝った。

数日別れの日々を過ごし、明日荼毘に付すという前の晩、友人Yuさんから、おじやにぴったりのお家が見つかったという連絡が入ったのだ。

それが、私が10年近く毎年参加している本村伸子獣医師の生食セミナーの主催をしてくださっている通称「海(カイ)のおかん」「海のおとん」さんご夫婦だった。

海くんというラブラドール・レトリーバーと長年暮らしておられたので、猫とは無縁だとばかり思っていたら、なんと20歳まで長生きしたテツくんという猫さんもいたのだそうだ。

つまり、愛情こめて飼ってくださるのは言うに及ばず、犬猫の食餌を含めた健康管理についてまでなんら心配ないことが保証されているわけである。
考えられ得る最高のおうちだった。

しかも、ハニーが亡くなった翌日たまたまご夫妻がYuさん宅へ遊びに行き、おじやの話を聞いて頭から離れなくなり、そしてハニーの体を空へ返す前の晩に、おじやを迎えるとお二人で心を決めてのご連絡。
もちろん、ハニーの事はご存じない。
Yuさんのおかげなのはもちろんだが、ハニーが後押しをしてくれたとしか思えなかった。



海家へのおじやのお渡しは次回私が帰阪する11月21日と決まった。
それまで3週間足らず・・・
おじやは、私と母の部屋でかわりばんこに寝た。
保護後6週間
ホープの前足の上でも寝てた
あっという間に日が過ぎ、私はおじや、フラ、アニューを連れて帰阪した。
大阪では、愚弟も存分に名残を惜しんだ。

ムギといい、初代おもちといい、ハニーといい、最近の別れは辛くしかも突然のものばかりだった。
ちゃんとお別れの準備ができて、しかもそれが幸せになるためのお別れなんて、久しぶりだ。
寂しくはあるけれど、それを上回る嬉しさがある、不思議な感覚。



当日、海家ご夫妻は嬉しくて楽しみで、ずいぶん早く到着してしまい、近所(裏庭公園)で少し時間を潰してきてくださった。
待ッテマス

人懐こいようでも、いきなり抱いてもらおうとすると怖がって逃げたおじやだったが、その後「おとん」さんのケーキに突撃して豹変ぶりを披露したりしながら、気づくとすっかり懐いていた。

おじやは『心(シン)くん』になった。



海家にはこの年の5月に拾われた先住猫の天(テン)ちゃんがいる。
天ちゃんは、おじや改め心くんがアプローチしてもなかなか受け入れてくれない、クールビューティだ。
でも、翌々日にはちゃんと鼻同士の挨拶もできたそうで、すべり出しはなかなか良し。

以後も焦らず彼らのペースで見守ってくださる海家ご夫妻のもと、確実に二匹の距離は縮まっている。
最近ではオヤツも並んで食べるまでになったそうだ。
そして、心くんはすっかり心も体も大きな立派な猫に成長した。

今年3月、心くんに会う機会があった。
見違えるほど立派な体格になったが、返事するときの鳴き方も、人懐こい表情もそのままの可愛い心くんであった。
三つ折りのカギしっぽもね



今も、心くんを拾った浜辺を通るとき、ひょろひょろと近づいてきたあの日の姿が浮かぶ。
そして今の心くんを思い、彼が自分でつかみ取った幸せを心の底から嬉しく思うのだ。

心くんの変化を動画でどうぞ。
見どころは、前半のおこぶのソフトパンチと、中盤の心くんのゴロゴロかな。


ちなみに、我が家で心くんの話をしていると、最初は心くんと呼んでいるのに、いつの間にかおじやに戻っているのは、ナイショである。



さて、上の文章を書いて数日経ち、今日は写真やら動画を入れて公開できるかなと思っていた朝に、海のおかんさんから近況報告のメッセージがきた。
その中に、心くんの食べ方が変わってきたとあった。
当初は、天ちゃんのを横取りしてから自分のを食べるため、一緒に食餌を与えるのはとうてい無理だった心くん。
今では横で寝そべって天ちゃんが食べるのを眺めているという。
心くんに食いついていた飢えの記憶・・・海家での幸せな日々が、ついにそれを消し去ってくれたのだ。























6 件のコメント:

じーまー さんのコメント...

そうだっんですね~!
おじや、幸せを手に入れたんですね~(T^T)ヨカッタ。
おじや、幸せそう…(*^^*)
おじやは本当に幸運な子ですね!
ハニフラさんに拾ってもらえて、今度は安心安全なついのすみかまで(*´ω`*)
私までとってもホッコリ暖かくなりました。

まりこ さんのコメント...

おじや、あのヒョロヒョロした姿からは想像できないほど
最高の結末&最高の再スタート!

あのおうちなら間違いない!と、心の底から言えるところへ
出せて、ハニフラさんも心から安心ですね。
お疲れ様でした!そしてありがとうございました。

来月、ワタシもセミナーに伺います♪
一年ぶりにお会いできるのを楽しみにしていまーす(^^)

ベックマン さんのコメント...

これは…ちょうどお会いできた時のお話だったりします?
すごいなぁ、半端ない幸運のつかみ具合。ず〜っと幸せでいてね❤️🐾

ハニフラ さんのコメント...

じーまーさん、幸せそうでしょう^^#
ちょっと太り気味に見えるけど、動き回っているので意外に筋肉質なんですよ。
あの日あの時、空腹をこらえて自分で寄ってきて切り開いた道、掴み取った幸せです。
私もおじやの様子を海家から聞かせてもらう度に、ほっこり暖かい気持ちになれるんです。

ハニフラ さんのコメント...

まりこさん、本当にいろんなことに感謝です。
まりこさんちのチビニャンコに続けて良かったなあと^^
(ニケちゃんは、まりこさんちの子になってるんだと思ってましたけど、どうなのかな?ふふふ)

おじやがまた最高のいい子でしたから、幸せになり幸せをご家族にもたらし、でいいことづくめです。
なんでも、3月にお会いしたとき、いまだにフーもシャーも聞いたことがないと仰っていました。

わあ♪セミナー、楽しみにしています!

ハニフラ さんのコメント...

ベックマンさん、そうですそうです、ちょうどお会いした日だったんじゃなかったでしょうか。
ね、苦労した月日は過去のもの、これからはず〜〜っと幸せですね^^#