翌朝、前日の長旅の疲れとワインと夜更かしでぐっすりお休み中のルフュ家を起こさぬように犬どもと山へ散歩に行き、帰ってひと休みしていると、客間の雨戸がガラガラと上がった。
”オハヨ” ”オハヨウ”
さあ、二日目の始まりです。
まだ早朝で、お日様も高くはなかったので、さっそくタケノコ掘りに取り組んでもらう。
タケノコはなるべくちょっぴりしか頭を出してないうちに掘り上げるといいのだけど、これを見つけるのは案外簡単。
竹も筍も、大量の水分を吸い上げる。
筍の頭についてる水滴は朝露ではなく、吸い上げた水分がにじみ出したものなのである。
だから、地面を眺めて、茶色く湿った土の部分があれば、そのすぐ下には筍が、今まさに出んとしているのだ!
というわけで、掘り上げ開始。
ツルハシを手に、新品の長靴に履き替えて颯爽と登場のルフュパパさんが頑張ります。
傍らで、伸びすぎたタケノコを嬉しそうにかじる犬たち。
うちの犬たちは、昨年、伸びすぎたタケノコを折った後の切り株(?)が土にまみれて発酵したものを、土ごと夢中で食べていました。
ルーファス君にも伸びすぎタケノコをあげてみたら、けっこうお気に召したみたい。
タイヤのように分厚い肉球でしっかり押さえて、囓っています。
傍らで、一心不乱にタケノコと格闘するニンゲンたち。
ルフュママさんと交代しながら、慎重に慎重に掘り下げたのに・・・
残念、イボイボの部分の途中で折れちゃった。
でも、これだけ根本から取れていれば美味しいはず。
よし、次のタケノコへGo!!
と、その前にルフュパパさんが、穴の底に残ったタケノコをツルハシで掻き取り、犬たちに配ってやったところ
モガーー!
「お気に召した」どころではない熱狂ぶり。
やはり、孟宗竹の採りたて筍はおいしさも格段だったもよう。
君たち、けっこう違いの分かるイヌだったのね。
(なんでもとりあえず匂いを嗅ぐ習性のあるルフュママさん。この動画を見てもやっぱり嗅いでる・・・)
少しずつ移動しながら収穫していくタケノコ掘り一族。
なかなか会心の一本を掘り上げるところまではいかず、その度にみずみずしいタケノコ(きれいに取れなかった部分)にありつける犬たち。
ルフュ家の人気はうなぎのぼりです。
ご覧下さい、タケノコクイーンの誕生です。
みなルフュママさんに心酔しています。
視線の先を厳密にたどるのは御法度です。
一方で、そばで眺めつつ無駄話をしているだけの私の人気は地に落ちた。

あからさまに背を向けるホープ
頑張ッテ下サイマシ
掘り続けること1時間半、5本目にして、ついに念願の完全筍を手にしたルフュ家!!
大満足のルフュパパ

ルー君と共に歓喜のポージング
呆然と見守る黒犬たち
収穫した筍は新聞紙でくるんで、お日様に当てないように部屋へ。
労働してお腹も空いたところで、朝ご飯です。
ちなみに、犬たちの朝ご飯は、ぞんぶんに食べたタケノコで、ということにしました。
皆満足したもようで、誰も文句なし。

足摺岬まで行ってこようか悩んでいたルフュ家ですが、ちょっと強行軍になってしまうということで、近場でゆっくりしてもらうことに。
そこで、我が家の散歩コースにご案内することにしました。

(ルフュ家撮影)
もう周りの田んぼに仕事の人が来る時間帯だったので、我が家はルースだけをお供に出発しました。
といっても、家からすぐなんですが。
農道を歩いて、
ルーファス&ルース。違和感なし
足もとの悪い竹藪を抜けたら、急に林の小道になります。

普段の散歩で森林公園を歩き慣れているルー君、足取りも軽く先へ先へと進みます。
我が家の散歩コースは森林公園とはほど遠く、ただの林(しかもけっこう荒れている)な上、ここのところ雨が少なくて小道の横を流れる小川も淀んでおり、水好きルーファス君には浸かってもらえなかったのが残念。

しばらく家の周りでのんびりしていると、田んぼ仕事の軽トラックが下の道に到着。
いつも、黒グロ軍団は最初だけはいっせいに吠えて知らせるのがお決まり。
今回も、「作業の車が来た!」と吠えたのですが・・・
よく通る太い声が、グローネンダール4頭の声を抑えて響きました。
そう、ルーファス君の深く艶のあるバリトンです。
やはり、猟犬の吠え声は違いますね。私達も聴き惚れました。
犬たちにもたちまち変化が起こりました。
グローネン達が吠えなくなったのです。
その後も、別の車が来たり、人が降りたりするたび、すわっ!と監視に行くけれど、無言なのだ。
マタ来タ
代わりに、ルー君が吠える。
普段からそうなのだけど、犬たちにはそれぞれ役割がある。自分の役割でないことはしない。
誰かが事情で自分の役を果たせない時だけ、別の者が代わりを務める。
そう、ルー君は吠え大臣に任命されたのだ。群れの一員として、大事な役割を任されたのであった。
感嘆のまなざし

その後も敷地内を歩き回ったりして

(ルフュ家撮影)
ほどよくお腹がこなれたところで、お昼ごはんを食べに近所の鰻屋さんへ。
正直言って、四万十は料理が・・・うーむ・・・なのである。(競争が激しくないから仕方ないのかもしれない。)
だけど、ここの天然鰻料理はたいへん美味しい。

お腹もふくれたところで、四万十川の河川敷へ。
3月に菜の花祭りが開かれていた場所(この時のことも後日書く予定)です。
寒の戻りがあったせいで、きっと菜の花も残っているだろうと、菜の花が大好きなルフュママさんに見てもらうことにしました。
我が家のお供は小さい2頭です。
おお、まだ十分咲いている。
しかも、足もとにはレンゲ草が。
それに頭上には四万十柳の新緑が芽吹いている。
盛りの頃もよかったけれど、今はまた全然違う良さが満喫できました。
そして、抜かりなく四万十川に浸かるルー君。
ハニー&フラも、浸かりました。
チワワたちは、水に対する抵抗は皆無のようです。河原と同じように普通に歩いていました。
その後、芝生の上で川風を堪能して帰路へ。
あっという間にもう夕方です。

家に帰ってから名残を惜しみつつお茶を飲み、そろそろ荷造り。
車の後ろに積み込まれたクレートにルーファス君が入りました。
・・・と。
ソフィの様子が一変しました。
ウォウウォウ、ウヌヌヌヌ、ワウワウワウ。
なにか、文句がある時や、何が何でも訴えたいことがある時の声色です。
顔つきも必死です。ごはんをねだる時と声は似ていますが、表情や声音にそんな余裕はみられません。
何トカシテッ
ど、どうしたの、ソフィ!?何か具合でも悪いの?
と訊いていて、ハッと気づきました。
ソフィはルフュ家が帰ることに焦っていたのです。
「せっかく増えた群れの仲間がいっちゃう!とめて!」と訴えていたのです。
じ〜ん・・・
「そうか、ルー君達が帰るのがイカンのかい?でも仕方ないの。今日はルー君達は帰らないかんのよ。また来てくれるから。」
ソフィはしばらく訴え続けていましたが、私が何度かそう言うと、ルフュパパさん、ルフュママさん、ルーファス君(クレート越しでしたが)の順番でチュッ、チュッ、チュッ、と一瞬ずつ鼻をつけていき、私のそばに戻って静かになりました。
なんか、ガディみたいになってきたな、ソフィ。
そうして、私達2人と6頭に楽しい時間(と美味しいお土産も!)をもたらしてくれたルフュ家は、東へ帰って行きました。
ありがとう、ルーファス一家!
また、近々来てね!
季節ごとに来てね!

さて、翌日ソフィは全然元気がありませんでした。

だって、こんなに馴染んでたんだもんね。


ルフュ家多頭飼いの図

我が家の面々がこんなにも一瞬でルフュ家を受け入れたのには、お出迎え作戦だけでなく、もう一つ大事な要素があります。
それはルーファス家の全員が、至極自然体で、落ち着いて振る舞っていたこと。
シーザーさんの言う、「穏やかで毅然とした態度」を地でいく方々だったからです。
ルフュパパさん、ルフュママさんはもとより、ルーファス君も生来の気性に加えて、お二人が子犬の頃から十分に社会化のトレーニングをして育てられたことで、たった半日でグローネン集団が一目置くような、バランスの取れた犬になっているのです。
ルフュママさんは普段はブログを書かれていますが、ぜひ一度本家Rufus Creekをご覧になって下さい。
ルーファス君がよい犬なのも納得です。
もじゃもじゃキング降臨
それに、犬を迎える前から、本当に勉強になる話が詰まっています。
私はここを見て、自分で犬を飼うことについてのサイトを作ろうという野望を捨てました。
だって、ここを見たらもう十分なんだもん。
オラァヤメタ

さあ、遊びにきませんか?西の果て四万十へ。
