7/08/2009

恋におちて



ミヒャエル・ゾーヴァ展に行ってきました。

風刺の効いた、でも説教臭くない彼の絵は、これ以上ないほどに私を惹きつけます。

イベントに対するアンテナが朽ちてる私ですが、今回はたまたま知ることができ、今日の幸せな時間を持つことができたのでした。


会場はあいにく京都。
出不精の私には果てしなく遠い・・・
(乗り換えが増える時点で限りなく遠い)






でも、行った甲斐がありました。
京都伊勢丹の中の小さな美術館でしたが、たっぷり2時間堪能しました。
意外に人が多く、ちょっとびっくり。



会場にいる間中、嬉しくて嬉しくて、思わず声を漏らしてうふふと笑いたくなるのを我慢しながら、行ったり来たり。一度過ぎた絵も、また戻って観たくなるのです。


特に、海にまつわる大きな油絵のコーナーでは、息がかかりそうなほど近くで観ても、反対側の壁に背中が当たるほど離れて観ても、素晴らしかったです。






おこがましいことを承知で言えば、彼は、『本当に』絵が上手だと思います。

線に、力強さというか勢い、自信があるのです。思い通りに描けていないのをごまかした絵で感じられる、ためらいやブレがありません。

この人には、私がどうひっくり返っても敵わないな、としみじみ思いました。

       目録から(アトリエの写真)


ミヒャエル・ゾーヴァはポスターや、「エスターハージー王子の冒険」「ちいさなちいさな王様」といった絵本の挿絵で有名ですが、映画の美術関係(「アメリ」の絵や「ウォレスとグルミット」の背景イメージなど)の仕事もしているそうです。
なんて容量の大きい画家でしょうか。


深い緑や青が多く使われる絵なので、一緒に行った母は最初、なんと陰鬱な絵だろうと思ったそうです。
ほどなく、老眼鏡を取り出して見入っておりました。


はっきりした絵柄なので、好みは分かれるかも知れません。
でも、私はお勧めしたい画家です。
お時間あれば、ちょっと試してみられては?
関西では12日(日)まで。
関東では横浜で9月にあるようです。

会場に入ったら、彼のこんな挨拶文に迎えられるでしょう。
『私の展覧会に来てくださったことに大変感謝します。 家でのんびりなさっていても良かったのに。』



ちなみに、私は明後日仕事が終わったら、買い損ねた絵を買いにもう一度行く予定です。
果てしなく遠い京都まで。



12 件のコメント:

ウズラ さんのコメント...

どこが遠いんだ?と思ったら
自分の実家から行くことをイメージしたからでした(^^;)
北海道に来てからはすっかり芸術鑑賞の機会がなくなってしまった気がします。
大阪にいると機会も場もたくさんあるのでご機嫌でした。
誰の作品も「原画」は素晴らしい!とワクワクします。

ルフュママ さんのコメント...

「家でのんびりなさっていても良かったのに。」

・・・こんな台詞をサラリと言う人の絵、見に行くしかありません♪たまりません。
絵本の原画展とか好きなので、この展覧会、かなり惹かれます。ありがとうございます♪

ハニフラ さんのコメント...

ウズラさん、うちからも実は1時間ちょっとなんですけどね〜。
心理的に遠いんですよ^^;
乗り換えて折り返すし、何と言ってもJR使わなあかん!
ずっと以前からJRが苦手なんで、明日仕事帰りに行くのも、めっちゃエネルギー使います。

やはり、こういう機会に恵まれるのは都会ならではですね。
移住したらなかなかこういうの行けないんだろうなあと覚悟しています。
まあ、大阪にもちょこちょこ帰るつもりだけど。

そうそう、原画って素晴らしいものだけど、自分の好きな作家ならなおさらだね。
JRに乗ってでも行こうと思うもん。

ハニフラ さんのコメント...

ルフュママさんも痺れました?この台詞。
この続きを読むと、もっと嬉しくなりますよ。
ぜひ会場で見てください。

私は、以前見た、「ちいさなちいさな王様」の挿絵のとりこになっていて、その割に誰が描いたかずっと分からなかったのですが、先日美容院で読んだ雑誌で展覧会の広告を見かけ、「こ、この人だ~~!!」と必死に名前を覚えて帰りました。(ミヒャエル・エンデ+象のババア、と覚えました。我ながら情けない)
長い時を経て、初恋の人に再会した感じです(たぶん)。

あ、本文のしょっぱなでリンクかけてる、「ほぼ日」の特集を読んでから行かれるともっと面白いかも。
帰ってすぐ検索したら、展覧会場より先に「ほぼ日」のページが出てきて(笑)
何があっても見に行くぞと決意したのでした。

絵本の原画展がお好きでしたら、きっと楽しめると思います。
ぜひぜひ!

あが さんのコメント...

わ〜素敵!
ミヒャエル・ゾーバさんって知りませんでした。
ほぼ日の特集も目に留まっていなかった!
素敵な絵を紹介して下さってありがとうございます。
素晴らしく精密に描かれた巧い絵に遊び心を融かし込んだ雰囲気が良いですね。
近くでじっくり見ても遠くから全体を眺めても大好きってよくわかります。
精緻な絵に遊び心って、同じドイツの画家のセバスチャン・クルーガー氏を思い出しました。
題材やテーマは全く違うんですけれどね。
https://www.artifactsgallery.com/art.asp?!=A&ID=619
ゾーバ氏の絵をイメージ検索したら、欲しいのがいっぱい出てきました。
深い森のイメージも素敵ですが、グッと来たのはHis master's voiceという作品。
ポスター買っちゃおうかな♪

ハニフラ さんのコメント...

あがさん、セバスチャン・クルーガー氏って、教えてもらって初めて知りました。
サイトに行ってみて、日本の似顔絵画家に影響を少なからず及ぼしているんじゃないかと思いました。
ご本人のコメントにあるように、ダークサイドを描き出す点で、より強烈な印象ですね!
偶然にも、同じドイツの方なのですねえ。
ゾーヴァさんはベルリンにお住まいで、「うわ〜Kyokoさんは近くていいなあ」と思いつつ観ました。

同じ系統の作家としては、ノーマン・ロックウェルや、遊び心はないですがトーマス・マックナイトあたりがわりと好きだったのですが、彼らはもうちょっとポップで日常的で、原画展を京都まで観に行くことはしないと思います。

私も、検索するまでほぼ日の特集は知らなかったのです。
あの特集もいいですよね。

あがさんは、His master's voiceがグッと来ましたか^^#
私もあれはポストカード買っちゃいました。
あれ、展覧会場の解説によると、主役はパグ犬なんですって。お友達に頼まれて描いたそうですよ。うらやましい。
私は、「渡航」が一番ググッときました。暗いですかね(笑)

Kyoko Alscher さんのコメント...

きゃーMichael Sowa!
もちろん我が家にも画集があります。(なのに原画展って滅多にないの、ベルリン)
個人的には豚モチーフの物が好きです。あのちょこっと舞台から顔出しているのとか、ダイビングしているのとか。
Gary Larsonにつながるシニカルさがたまりませんね。
ジャガイモがワラワラしているのも好き♪

Sebastian Krugerも面白いですよね、近頃観光地に行くと似たような感じで書いてくれるストリートアーチストが増えた気がします。
頼んでみたい気もするけれど、後でショックを受けるのがオチであろうほど小心者の私...

ハニフラ さんのコメント...

わあ、やはりKyokoさんも画集をお持ちでしたか!
ベルリンなら、いつでも原画を見られるサロンのようなところがあるのかと思っていましたが、そうでもないのですね。
そういえばゾーヴァさんは上塗りに上塗りを重ねる「上塗り師」(笑)だそうですので、原画は手元に置いておくのかもしれません。

私も豚モチーフが好きで、あがさんへのコメントで書いた一番好きな絵「渡航」も豚なんです。
昨日は、会場であまり評判が芳しくなかった「スープ豚」のポスターを買って帰って母の顰蹙を買いました。
確かに、ジャガイモがワラワラしてました、してました。ピクルスがそれを眺めてたような・・・
ほんとだ、言われてみればゲイリー・ラーソンと近いわ。思いつきませんでした。

似顔絵と言えば、弟が小学校の頃、友人と一緒にどっかの科学館みたいなところで、コンピューターに似顔絵を描いてもらったことがあります。なかなか上手でしたが、さすが機械は血も涙もなく、弟の友人の三重あご、勢いよくシャッ、シャッ、シャッ、と描いて、周りで観ている人たちに爆笑されたそうです。
に、似顔絵ってコワいですよね・・・

ひより さんのコメント...

ほんとだ。粋な方ですねー(笑。
ステキですね。知りませんでした!
身近でリアルだけど幻想的で詩的な感じ、、、。
絵、無事買われたんですか?
さすが、Kyokoさんはご存知なんですね!

似顔絵は、、、欠点を強く描くと、似るので(笑。
でも、パリとかで女性に人気のある街画家に描いて貰えば、綺麗に描いてくれるというウワサですよ(笑。
でも写真で女性を写すのが上手な人に撮ってもらうのも、(アラーキーみたいな?)自分で知らなかった美点!とかに気付けて、いいそうですよ♪

ルフュママ さんのコメント...

週末、行って参りました^^!ゾーヴァさん。
ハニフラさんの日記のリンク先のページをネチネチ見ていたら、ルフュパパも俄然見たいと言い出したもので最終日に二人して京都へ行ってきました。
開場間もなくに入れたので、混雑前に見ることが出来たようです。我々が出る頃にはすごい人になってました。

ハニフラさんが書いておられたように、「ンフフ・・・」と笑いをこらえつつ(いや、私はかなりニヤニヤしてたかも?)色々想像膨らませて楽しんできました。
「高速豚」・・・豚なのにルーファスにソックリ(笑)。
で、描かれてる人間がみんなゾーヴァさんよろしくメタボ系(失礼)で緩~い感じなのも可笑しかったです。

「家でのんびりなさっていても良かったのに。」
の下に書いてあったこと、私、自力では絶対答えを見つけられませんでした。
そんな仕掛けも面白かったです^^。

うちにいるアメリカ熊のぬいぐるみ。
奇遇なことに「サンディ(日曜日)」という名前なんですよ!かなり大きいので洗ったことはありませんが(笑)。

楽しい日曜日となりました。
ハニフラさん、ありがとうございました!

ハニフラ さんのコメント...

ひよりさん、さすがに端的に見事に表現されますね!おどろいた。
『幻想的で詩的』まさにその通りです。なんで思いつかなかったんだろ、この表現。
へへへ、絵は買いましたとも!
さっそく一枚、食堂に飾っていますが、疲れていてもそれが目にはいると急に元気が出ますから、本当に好きなんだなあと、我ながらあきれています(笑)

Kyokoさん、ご存じでしたね〜。
地元だから画集を持ってるってものでもないので、やはりKyokoさんもゾーヴァファンだったということですね。

ああ、欠点を押さえると似顔絵って似るのですか。
あんまりひどいデフォルメも辛いけど、どう見ても修正しすぎ、てのも、いくら綺麗だって居心地悪いですよね。

>写真で女性を写すのが上手な人に撮ってもらうのも、(アラーキーみたいな?)自分で知らなかった美点!とかに気付けて、いい
そうか、私は普段撮るばっかりで撮ってもらわないから、こうなんだわっ!

ハニフラ さんのコメント...

ルフュママさん、行かれたのですね!
楽しい日曜日のお手伝いができて嬉しいです。
(と言っても、ルフュ家はいつも楽しい日曜日を過ごされていますが)

日曜日は最終日ですから、やはり人も多かったのですね。
空いてる間に観られて良かったと思います。展覧会で混雑って、楽しめないですもの。

私も、最後のヒント(答え?)を見るまで、私も自力では分かりませんでした。
でも、純粋に絵を楽しむ+答えを探す、ということでよりおもしろくなってますよね。

「高速豚」が、ルー君そっくりと!?
いや、私たちも、「高速豚」がホープそっくりだって思ったので、びっくり。
この話をルフュママさんにしたっけ?と一瞬考えてしまいました(笑)
ちなみに、「緑の党」のポスターに出てくるウサギの目つきは、ウェルそっくりなんですよ。

ルフュママさんちにもサンディが^^#
ぜひ一度、洗って干してみて下さい。
そうですね〜・・・ルー君のプーチパッドと一緒に。雰囲気出るかも。

拙ブログを読んで、ルフュママさんともうひとり、展覧会に行かれました。
いつものように半年遅れとかじゃなくて、タイムリーに記事にすれば、多少お役に立てることもあるんですね。
もうちょっとさっさと書こう。
(セミナーの話も書きかけて放ってるし)