3月6日の朝。
鶏の餌入れのフタを開けると、空っぽだった。
私は腰をひどく傷めていたので、あとで母に餌を大袋から移してもらおうと、きっちりフタを閉めずに家に入った。
15分ほど後、私に頼まれて餌を入れようとデッキに出た母が少し慌てた声で呼んだ。
「ちょっとちょっと、どうしよう」
ヤギか鶏に変事が起きたかと真っ先に思い飛び出してみると、母が静かにというジェスチャーをして、餌入れのフタを開けた。
なんとも可愛い盗っ人が、少し残った鶏の餌を一生懸命食べているところだった。
フタがちゃんと閉まってなかった15分ほどの間に入り込んだのだ。
撮影しようとiPhoneをすぐそばに入れても怯える様子もない。
それどころか、私の手につかまってのぼろうとする。
野性動物は感染症や寄生虫のことを常に念頭に置かねばならない。
ましてネズミといえば、レプトスピラやハンタウイルスが真っ先に頭に浮かぶ。
いくら可愛くても、「さすがにそれはご免」とふり払った。
すぐ逃がしてやろうと思ったが、見れば見るほど小さい。
毛づやも良く、まだ幼そうだ。
両手でキビのかけらを持って食べている様子を見ると、急に心配になった。
というのも、周りには恐ろしい鶏達が群がっていたからである。
鶏は雑食で、ムカデなどは大好物だ。
ムカデをやっつけるのはなかなか骨が折れるので、見つけたときは長靴で押さえておいて鶏を呼ぶ。
するとあっという間に絶命させて食べてくれる。
そればかりではない。
蛙も蛇も獲って食べる。
いちえんさんちの土佐ジローは、草刈り機に巻き込まれて死んだマムシは奪い合いになるらしいし、雄鶏はマムシと相討ちになったこともあるそうだ。
うちの連中だったら、こんな小さなネズミなら食べるに決まっている。
もし子ネズミなら、もう少し大きくなってから放してはどうだろうという考えがよぎった。
それと、野ネズミに遭遇するなどめったなことではないから観察してみたくもあったし、なにより可愛らしくて、もうしばらく間近で見たい気持ちを抑えられなかったのだ。
適切な容器がなかったので、鶏の餌をもう少し足してやり、小さなお皿に水をいれてやった。
そうして、夕方までに逃げ出していなかったら、飼育容器を買って帰ることにして、出勤した。
6 件のコメント:
ルースさんが姿を変えてご家族が悲しんでないか寂しがってないかと癒しになる姿で逢いに来てくれてるのかもですね。
私も誰かが、様子を見に来ている気がしますです。
だって、あまりにも、危険な所に、小さい体でやってきて
妙に、落ち着いている感ありますし。
蝶々とか虫とかでなく、ネズミっていうのが、なんだか・・。
何年前だったか?
窓からアイスが何か凝視していた。
視線の先を見ると、なんというミニサイズ!
小さなネズミが立ち上がり、朝露を拭って、
朝陽を浴びている後ろ姿があった。
ハムスター以下だった。
かわいいよね~。
めぐちびさん、なんだか、そんな気がしてならないです。
ウグイスと言い、野ネズミと言い10年以上住んでて初めてのことがつづいているので^^#
はたはたさんもそんな気がされますか!
そんなわけないと言う人もいるかもしれませんが、思わぬ来訪者に元気づけられているのも確かですので、そう思うことにしています。
ウグイスもネズミも、向こうから来てくれてますし^^#
ウズラちゃん、朝陽を浴びたネズミの様子、想像するだけでおとぎの国のよう。
アイスの思惑はまた別のところにあったのかもしれないけど^^;
野ネズミって、本当に小さいのね。
小さい子ははかなくて、ドキドキします。
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