土曜日の朝、時間もたっぷりあるので山コースで散歩に行った。
往路のわりと早いうちからアニューが左手の山に姿を消した。
いつものことなので、気にせずずんずん進み、折り返し点で10分ほど休憩。
たいていはこの間に追いついてくるのが、まったく気配がない。
ここは人が入ることはまずなく、しかも奥へ行ってもどんどん山が深くなるばかりで、ひょっこり集落に抜けるようなこともない。
だから全然心配はしていなかった。
森の中でぽつんと日の当たる場所を見るのが好き
半分以上帰った辺りから、時折、右手の山の中で、何か大きな枝でも踏み折るようなバキッという音がする。
ブラウニーはもちろん、ウェルもなんだか浮き足立っている。
ちょっと嫌な予感はしていたのだが、案の定だった。
突然、小川を挟んで3mほど向こうにイノシシが姿を現したのだ。
いや、いることに私が初めて気づいたというのが正しい。
近づこうとしたウェルに、ブフッと大きな鼻息を立てて威嚇し、突進するそぶりを見せた。
見事な保護色のせいで間際まで全然気づかなかったのだ。
だが、保護色なのはイノシシだけではなかった。
ハッと気づいたときには、イノシシの2mほど後方にアニューが近づきつつあった。
おそらく30分以上、二頭は攻防をくり広げていたのではないかと推測される。
私達に気づいたアニューが、イノシシから離れてひとっ飛びでそばに来た。
私をかすめてすぐイノシシのところへ戻ったが、こちらのことは見向きもしないだろうと思っていたので、意外でもあり嬉しくもあった。
いや、嬉しがっている場合ではない。
まさかとは思うが、こちらへ追い込んでくるつもりじゃなかろうな。
「今カラ追ウンデヨロシク」
とか言いに来たんだったらどうしよう。
私もウェルもブラウニーも、とどめを刺すのは無理だから!
・・・というわけで、どうしたかというと、アニューとイノシシを置いて、三にんですたこら逃げた。
それは獲物じゃない、出くわしたら逃げるものなんだぞ、との意思表示のつもりでもある。
だって、アニューの身体能力なら、逃げる気になれば簡単だろう。
私が一番危うい。
背中を見せて逃げても、アニューとにらみ合っているイノシシがこちらを追うことはないだろうと踏んで、後も見ずに逃げた。
じゅうぶん離れてから、いちおう二度ほど呼び戻した。
こうして呼んでおけば、帰ろうと思ったら帰ってくるだろう。
でも、今まで何度も夢中で子イノシシを仕留めたアニューが、簡単に諦めるだろうか。
アニューは一度気に入ると、しばらくは熱中する。
たとえば一昨日、私が椿の花を撮っているのを見て、突如椿に興味を持った。
それから、毎朝椿の花をむしる。
ル『アーア』
(門のところで立って見ているのがルース)
花をむしると大興奮で走りまくる
何度でもむしる
そしてスリスリしたりもする
今までいつも横を素通りしてたのに。
これは数時間は帰らないかもしれない・・・と思いながら山桜の辺りまで帰ったら、何事もなかった顔をして追いついてきた。
足場の悪い山道をものすごい勢いで走ったので、しばらく両足がだるかった。
まったく、朝からスリリングだったことよ。
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